僕の地元にある有名な公園があります。
花見やBBQなどで賑わうとても大きな公園です。
そんな地元の公園ですが、昼はとてものどかで良い場所なのですが、夜になるとぶっそうな事件が起きることでも有名でした。
「首なしライダー」という都市伝説がありますが、その事件もこの公園の周囲の道路で起きた事件がきっかけで生まれました。
ちょうど僕たちが学生の頃、夏休みになると夜遅くまで遊ぶことがよくありました。
その日は深夜の公園で肝試しをしようという話になりました。
当時、公園内にある大型のゴミ箱の中から、蓋を持ち上げてこちらを眺めている女を見たという目撃談をよく聞いていたからです。
集合した僕たちは自転車に乗りながら、さっそく深夜の公園内を探索しました。
僕たちは全員で4人でしたが、誰もいない深夜の公園というのはなかなか不気味でした。
そこで他愛もない会話をして盛り上がりました。
ちょうど一緒にいたK君が「そういえばこの前、この公園の林の中で首吊自殺があったんだってさ」と話しはじめました。
その事件のことは僕もよく知っていました。
なぜなら、その自殺したという人は、某スポーツ団体の社長さんだったのです。
経営苦で借金漬けになり、自殺をしてしまったというとても悲しい事件でした。
「社長が亡くなった場所は湖の前にあるあの林の中だってさ」
そんな話をしながら、僕たちはゴミ箱を警戒しながら自転車をこいでいました。
しかしゴミ箱はまったく開かない。
何も起こりません。
退屈に感じてきた頃、一緒にいたO君が、ゴミ箱の蓋をバタンバタンと開け締めをしたりフザけはじめました。
おいおい…と思いましたが、ゴミ箱の中には何も入っていませんでした。
管理人さんが片付けてるだろうし、当たり前だよな…。
だんだん飽きてきて、そろそろ帰ろうか?という流れになってきました。
その時、O君が「うわ!」と大きな声を出しました。
僕たちから20mほど離れた位置にあるゴミ箱の蓋を指差して、「いま……あのゴミ箱の中から女がこっちを見ていた…」と言ったのです。
霊感の強いK君は、それを聞いて「やばい…逃げろ!」と声を出し、一同はパニック状態になって逃げ出しました。
息を切らして広場まで到着。
するとO君が、「ごめん…さっきのはウソだよ。あはは」と、ゴミ箱女なんて見ていないと言うのです。
なんとなくそんな気はしていたけど、全員が走って逃げるから余計に怖くなってしまっただけでした。
その時です、K君がガタガタと震えてO君の腕を指差していました。
なんだ?と思ってよく見ると、O君の左腕だけがビチョビチョに濡れていたのです。
つまりどういうこと…?