「ひいばあと一緒に行くか?」
投稿者:峰 (38)
友人が幼稚園児だった頃の話です。
友人には、とても優しいひいおばあちゃんがいました。
その頃すでに90歳を超えていましたが、ボケておらず、友人が遊びに行くととても喜んで、
「よく来たねえ。ひいばあと遊ぼうね」
と、ニコニコ出迎えてくれたそうです。
ひいおばあちゃんは、友人のことを大変溺愛していました。
「◯◯ちゃんはひいばあの宝物。ずーっと手元に置いときたいくらい。」
と言うのが口癖でした。
そんなひいおばあちゃんも、やがて身体が弱り寝たきりになりました。
本人も寿命が近いのを悟ったのでしょうか。ある日友人を枕元に呼んでこんなことを言ったそうです。
「◯◯ちゃん、ひいばあのこと、好き?」
「うん、大好きだよ」
「ひいばあも◯◯ちゃんが大好き。ひいばあが死んだら淋しいよねえ」
まだ幼稚園児の友人は、死ぬということがよくわかりません。
でも、なんとなく同意した方がいい気がして、
「うん、さみしい」
と答えたそうです。
するとひいおばあちゃんは嬉しそうに、
「ほんなら◯◯ちゃんも、ひいばあと一緒に行くか?」
と尋ねてきました。
しかし、なぜか友人は、今度は頷いてはいけない気がして、
「行かない」
と答えました。
ひいおばあちゃんは何度か「行かないか?ひいばあと一緒は嫌か?」と粘ったそうですが、友人は段々怖くなって「行かない!」と突っぱねました。
ひいおばあちゃんは残念そうに、「そうかあ〜。じゃあ、待ってるからね〜」と言ったそうです。
それからしばらくして、ひいおばあちゃんは亡くなりました。
大人になってから思い返すと、大好きだった優しいひいおばあちゃんが自分を連れて行こうと何度も誘ったことや、まだ幼稚園児の曾孫に「待ってるね」と伝えたことが怖すぎて、友人は素直にひいおばあちゃんのお墓を参ることができないそうです。
それにしても、あの時友人が「一緒に行く」と答えていたら、ひいおばあちゃんはどうしていたのでしょうか。
ただ単に、一緒に行く。と言って欲しかっただけだと思いたいですね。ひい御祖母さんの御冥福をお祈り申し上げます。
私もそう思いたいと思います。私の母が幼くして母親が亡くなる朝、夢を見て一緒に行くかと言われたららしいです。でもいつも優しいけど目や顔が怖くて「嫌だ」と言ったら目が覚めたそうです。「行く」と言ったらどうなってただろうと言ってました。御冥福をお祈り申し上げます。