K池トンネル手前の電話ボックス
投稿者:峰 (38)
高校生だった頃の体験です。
私は自転車で山を超えて通学しており、その山にはK池トンネルがありました。
ここは地元でも有名な心霊スポットで、私が小学生の頃には全国放送のテレビが取材に来たこともあります。とはいえ、多くの学生にとっては通学路にもなっている、日常に密接したトンネルでもありました。
当時、私は部活に入っており、練習で夜遅く帰ることが度々ありました。遅いと言っても8時ごろですが、女子高生にとってはそんな時間に心霊トンネルを通るのは少し怖い。
その時間は学生もほとんどおらず、暗い山道を通るのは気が重かったです。
トンネルを抜けると、すぐそばに古いドライブインがあり、脇に電話ボックスがありました。
当時すでに電話ボックスは稀で、暗闇にぼんやり浮かぶ緑の灯りは不気味でした。しかし、怖い思いをしながら真っ暗な山道やトンネルを抜けてきた私は、そのドライブインと電話ボックスの灯りに毎回ホッとしていました。
ある日、その電話ボックスに、誰かが入っているのが見えました。
変だな、と思いました。
電話ボックスが使用されているのは後にも先にもその時しか見たことがありません。
段々と近づくにつれ、中にいるのは白っぽいスカートを履いた、若い女性に見えました。
自転車でスーーッと横を通った時、私はドキッとしました。その女性は、電話をかけていませんでした。
ただ、ボックス内で直立していました。ずっと俯いたまま、棒立ちで。
長い黒髪が顔を覆っていて、ゆらゆら揺れているように見えました。
あまりにも異様な光景に怖くなって、私は全速力で自転車を漕いで帰宅しました。
そんなことも忘れた数年後、私はネットで怖い話を読んでいて、有名な師匠シリーズに出会いました。そのシリーズに、まさにこのK池トンネルが出てくるのです。ウワッと思いながら読んでいると、「トンネル手前の電話ボックスもヤバい」との一節が……。
一瞬であの夜の出来事を思い出しました。もしかすると、やはりあの女性は、この世のものではなかったのかもしれません。
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