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呪い・祟り

礎吽亭雁鵜さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

神主さんと御神竹
短編 2026/09/28 20:43 49view

神社の中には敷地内の大きな木を御神木として祀っているところがありますよね。
私の地元の神社ではなぜか竹が御神木ならぬ御神竹として大切にされておりました。
竹に詳しくない方も多いと思うので補足しますと竹という植物はたくさん生えているように見えても地下で根が全て繋がっています。なので竹林の中の一本一本の竹が全て一つの竹なのです。
また1本の竹の寿命は10〜20年程度です。
そのためこの御神竹は特定の1本の竹が祀られているのではなく、その一帯の竹林が全て御神竹として扱われているのです。

さてこの御神竹は神社本殿の裏側、神主さんのご自宅に隣接しています。
竹は地下の根を横に横に広げて竹林を広げようとします。
放置すると際限なく広がってしまうため、当然神主家は竹林の周囲をコンクリで固めて根がこの範囲から広がらないようにしていました。

しかし自然の力はすごいもので、どこか老朽化して弱った部分を突破したのでしょうか、ある年から神主さんの自宅の庭にまで竹が生えてくるようになってしまったのです。
流石に御神竹といえども放置はできないということで駆除することになったのですが神主さんの奥さんがこの機会に竹林の面積を削り、できたスペースに自宅を増築しましょうと強く主張したそうです。

奥さんは地元の人ではなくそれほどこの竹林に愛着がなく、むしろ日当たりが悪くなるし、虫も沸くということでどちらかというと疎ましく思っていたそうです。
また息子の縁談が決まっており今のままでは自宅が手狭になるので増築は必要なのだと奥さんに詰め寄られてしまいました。

奥さんの言うことも至極真っ当とは思いつつも御神竹を伐採することには抵抗があります。
なんとか共生はできないものかと頭を悩ませていたところ、ある朝、庭にタケノコが生えてきているのを見つけました。先日庭に生えてきたものよりも立派で数も多くありました。
神主さんはその光景に感じ入るものがあり奥さんに言いました。
「このように御神竹自らまさに身を切る思いでお供物をお出しいただいているのだ。伐採は許してやってはくれないか?」
「まあ、あなた何をおっしゃるの?こんなに太いタケノコがいくつも生えてきたってことは庭に相当侵入されているということよ。このままでは家の下にまで入り込まれて、手の施し用もなくなりますよ」

説得するつもりが逆にあっさり奥さんに言いくるめられてしまった神主さんは、その場で竹林の伐採を約束させられてしまいました。
その日の夕飯のタケノコのフルコースを神主さんは御神竹に申し訳ない気持ちでいただきました。

その後、予定通り竹林の一部が削られました。

神主さんと奥さんが半分ほどの面積になった竹林を眺めていると、そこまで風が強いわけでもないのに竹林全体が大きく揺れているのに気づきました。
「なあ、なんだか御神竹が揺れてないか?」
「ええ、多分根が傷んで揺れてるんじゃないかしら?」
「根が・・・痛んでいるのか・・・」

そして自宅の増築と息子の結納も無事に終わったころです。

ある夜、神主さんは地元の集まりに参加して大層お酒を飲まれたそうです。
かなり酩酊している様子の神主さんを地元の人たちは家まで送ろうと言いましたが、「目を瞑ってたって帰れるよ」と言い残してフラフラと帰っていったそうです。

何時になっても帰ってこない神主さんに心配になった奥さんは集まりの関係者に連絡しますが、数時間前には家に帰ったはずとのこと。
そこで地元の人たちで夜通し捜索しましたが全く見つかりません。
奥さんが疲れ果てた状態で帰宅したときです。
ふと竹林の方に目をやるとなんと竹林の中で神主さんが座り込んでいるのです。

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