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妖怪・風習・伝奇

ヱノニマスさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

黄泉醜女
短編 2026/07/07 13:22 252view

 葡萄に助けられた話。
数年前の熱帯夜。
知らない山道をドライブしていた。
車の冷房が急に故障して途方に暮れていたら、一軒のコンビニを見付けたので果物でも食って涼を取ろうと思った。
運良く戦利品をゲットした後は途中で見掛けた廃墟が何とも涼しそうだった事を思い出し向かった。
廃墟に停車すると入口の辺りに腰掛けた。
ビンゴ。
ひんやりとした石階段だ。
廃墟を観察してみるとそいつはまるで廃線駅の様に見えた。
しかし階段の奥はコンクリで塗り固められ行き止まりになっていて駅だという確証はない。

確かこういうのって純粋階段って言うんじゃないのか?

所謂、トマソン芸術。
トマソン選手にしてみりゃ随分と失礼なネーミングセンスだろうが。
そんなくだらない事を考えながら特売品の葡萄を階段に置き一緒に買ったお茶はどこだと買い物袋をゴソゴソしていると、ひたひたと足音がする。
何だ?先客でも居たか?
多分、猫だろうな。
深く考えずにお茶を探し続ける。
足音が更に近付いてくる。
お、あったあった。
お茶を取り出し顎で固定すると葡萄の入ったパックを取り上げた。
その瞬間だ。
奥の方に影みたいなものが見えたがすぐ引っ込んでしまった。

え?

驚いた俺はお茶のペットボトルを落としてしまう。
まるで背中を毒虫が這う様な嫌な予感に襲われた。
もう一度葡萄を階段に置きながら再度横目で階段の奥を観察する。
赤い眼が二つ、光っている。
俺には何かがこちらの様子を伺っている様に見えた。
葡萄とお茶をその場に放置し、そのまま車へと走った。
そういや純粋階段はあの世と通じるとも聞くが。
そして果物も。
うろ覚えだが確か古事記でも伊邪那美から伊邪那岐が逃げる話があっただろ?
その時、黄泉の国から追いかけてきたのが黄泉醜女。
伊邪那岐はどうやって黄泉醜女を撒いたか?

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