黒御縵という蔓草を葡萄に、湯津津間櫛という櫛を筍にして最後は桃を投げ付けた。
果実には黄泉の存在を引き寄せたり祓ったりと、あの世の存在と深い関わりがある。
俺は車のエンジンキーを何度も何度も回しながらバックミラーを覗いた。
髪の長い裸の女がゆっくりと階段を昇ってくるのが見えた。
女は明らかにこちらを見ている。
エンジンがなかなか掛からない。
女はまだこちらをじっと見ている。
このままエンジンがかからなかったら俺はどうなるのだろう?
走って逃げられるか?
5分くらい睨み合いが続きそうした考えが何度も頭をよぎり発狂するかと思った。
女が葡萄へと視線を落とした瞬間にエンジンが掛かった。
その後は珍走族の集団を何度も追い抜く程の猛スピードで帰宅して玄関に盛大に盛り塩と桃を並べたよ。
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