中学校の裏山、その反対側の麓に池がある。
地元住民でもあまり近づかない池だった。
農業用の溜池というわけでもなく、周囲は舗装されていて、立ち入りができないよう柵で囲われていた。
その池の淵にお墓のようなものがあって、その池の水が溢れた時に、誰かがそこの池で溺れる。
そんな噂が子どもの頃に流行った。
中学時代は悪ガキだったもんで、昼休みによく学校を抜け出して学校の裏にある山に遊びに行ってた。
抜け出すと言っても、特に柵なんかは無かった。
最初は昼休みに学校裏の森で遊ぶ程度だったのが、次第に奥へ奥へと進むようになり、いつのまにか裏山登山が日課になっていた。
みんなでいつものルート、といってもほぼ獣道みたいな道を辿って登頂し、頂上の電波塔をよじ登って景色を眺め、下りは何グループかに別れて新規ルートを開拓する。そんな遊びをしてた。
その日もいつものように何人かに別れて適当に下りを開始した。
そのうちの1人が、
「俺今日はこっち側から下ってみるわ!」
と言って予定してたルートから外れた。
浅はかな考えだったガキどもは、
「まぁ、下り始めた斜面は同じだし、学校付近にはたどり着くだろ」
そんな考えで山を下り、掃除の時間になった。
しかし、別ルートを下っていった奴がいつまで経っても帰ってこない。
掃除の時間が終わっても、あいつは戻ってこなかった。
「あいつ遭難しちゃったんじゃないのか?」
救助隊みたいなのがきて山を捜索し、俺らは先生と親に怒られ、そいつは後日死体で見つかる。
そんな最悪のストーリーが俺らの脳裏を掠めた。
裏山なんて行くんじゃなかった…
そんな後悔と焦りを抱えながら俺らは散り散りに席に着く。そして5時間目のチャイムがなろうとした瞬間、教室の扉が勢いよく開いた。
遭難してた友人だ。
先生と他の生徒は肩で息をしながら扉にもたれかかる友人を見て目を丸くしてた。
思わず先生が尋ねる。
「お前今までどこ行ってたんだ、もう授業が始まるぞ」
「すみません、トイレに行ってました…」
鬼気迫るそいつの視線と明らかな嘘。
でも帰ってきた安心感が大きくて、俺らは思わず吹き出した。
先生も深く追求せず、そのまま授業は始まった。
























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