高校生活も終わりが近い。浪人は決定しているし、恋人もいない。
理系で女子との接点もなく、友人からは「面白いのは顔だけにしとけ」と言われるほどのゴリラ顔だ。
「恋人もいなければ告白される見込みもない可哀想なゴリラくんよ。朗報がある」
殴ってやりたいと思ったが、妙に真剣な顔をしているので、つい耳を傾けてしまった。
「伝説の木の下で告白すると成功するって話、あるだろ。実はこの学校にもあるんだよ。桜に囲まれた校庭に、一本だけ柳の木があるだろ? あそこで待ってると……」
「待ってると?」
「幽霊に告白される」
なんだそりゃ。
モテないからって幽霊にまで頼る気はない。
「いやいや、考えてみろよ。浪人生活は孤独だぞ。幽霊でもいいじゃん。美人かもしれないし」
気づけばクラスの連中が集まってきていた。
「やれよ!」「面白そうじゃん!」「応援してるぜ!」
悪ノリが加速し、逃げられなくなった。
***
卒業の日。
式が終わると、泣き合う者、告白して成功したカップル、青春劇の最終回みたいな光景が広がっていた。
僕はひとり、柳の木へ向かった。
暖かい日が続いていたせいか、桜は二分咲き。
その中で、一本だけ場違いな柳が揺れている。
風もないのに、枝だけがサラサラと揺れていた。
確かに、幽霊がいてもおかしくない雰囲気だ。
待つこと十数分。
ボワッと白いものが揺らめき、人の形になった。
ホントに出た。
足はないが、驚くほど美人だ。昔のセーラー服を着ていて、どうやら一昔前の生徒らしい。
心臓が跳ねた。男は単純だ。美人なら幽霊でも惹かれる。
意を決して声をかける。
「あの……」
幽霊の女学生は、じっと僕の顔を見つめた。
そして——



























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。