奇々怪々 お知らせ

都市伝説

水色夜空さんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

トウマくんとマユさん#4
短編 2025/08/16 11:33 641view

Aは優しくて礼儀正しいが、しかし明朗快活とは言い難い。それを幼いうちから良く知るBだからこそ、Aの様変わりはとても不気味に思えたのです。だから、昨日の夢の悩みはどうなったのかと尋ねてみました。すると、Aは特に変な夢も怖い夢も見なかったよと笑いながら答え、すぐに昨夜に観たバラエティ番組の話をし始めます。Bは、適当に相槌を打ちながらも、疑念を強めて行きました。それでもだんだんと時間は過ぎ、放課後、家路についたAは、両親と弟と四人で夕飯の食卓を囲み、またも明朗快活に振る舞っています。Aの家族もそれを不思議に思いましたが、いつもおとなしいAの変化を好ましく感じ、喜びました。そして、翌朝。

この日は休日でしたから、Aは家で本を読んでいました。すると、鳴り響くチャイム。Bが訪ねてきたのでした。Bは玄関でAとAの母に、Aと少し出かけたいと用向きを言います。許諾してもらうと、Aが着替えるのを待ってからさっそく出かけました。スーパーでおやつを買い、それから公園に行って遊び、昼頃に日差しがきつくなってからはBの家に行きました。そこで昼食を摂っている時、Bはやっと本題を切り出しました。

「あの、昨日から思ってたんだけど、急にどうしちゃったの?いつもと全然違うよ…。」

Bはこの日、遊んでいる間もずっと、Aへの違和感が拭えなくて、内心穏やかではいられなかったのです。Aは笑って、「何が違うの?私は平気だよ。Bこそ元気がないみたいだよ。もしかして、体調が悪いの?」と返します。Bはそれを聞いて、やはり違うと思いました。いつものAなら、Bや他の友人から真剣な話をされたら、絶対に笑ったり、はぐらかしたりしないと知っていたから。その気持ちが、昨日からの違和感に後押しされて、気づいたら本心が口に出ていました。

「あなた、誰なの。」

その時、Aの表情が、Bの知らない誰かのような歪んだ笑みを映しました。そして、突然Aの両脇に、高校生くらいの美しい少年少女が現れたのです。Bは驚きつつも、こんなことができるなんて、この二人は化け物に違いないと確信しました。同時に彼らの纒う異様な雰囲気に、底冷えがするような恐怖を感じます。しかし、「Aに何をしたの。」と、震えながらも尋ねました。すると、少年がこちらを軽くせせら笑って、

「A?あいつなら、とっくに喰ったよ。それなりに力にはなったさ。」と答えます。そしてその意味をBが噛み締めるより早く、突然姿を消して、玄関の方に現れていました。Bはまたも驚かされましたが、その時やっとさっきの少年の言葉の真意が掴めて、恐怖すらも塗り替えるような憤りを覚え、走って彼らの元に向かいます。すると一人でに玄関のドアが開き、今度は家の前あたりまで彼らが移動したのが見えました。少女が口を開きます。

「ねえ、あなたは、水晶は好きですか?」

そしてBは、そのまま怒りに任せて無我夢中になり彼らに向けて体当たりを…する前に彼らは消え去り、Bはその勢いのまま、家の前の道路を走る車の前に躍り出て…。

1/1
関連タグ: #不気味#事故物件#夢
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。