友達に康太って奴がいるんだけどさ、そいつめっちゃイケメンなんだよ。
大学でも結構有名で、親友の俺としては嬉しさもある反面なんかヤキモチっつーのかな、「俺はどうなんだよ!?」みたいな思いを抱えながらもいっつもつるんでる。
康太はとにかくモテる奴で、高校生の頃は百個くらいバレンタインのチョコをもらって、それを全部弟にあげたんだってさ。弟は全然康太に似てないらしくて、とにかくモテない。だからなんか可愛そうで、よく女からのプレゼントをあげてたらしい。それって弟的にはそれでいいのか? って思わなくもないけど、それが康太の裏表のない優しさからの行動だって弟も知ってるんだろうな。
しかも康太の凄いところは、ちゃんとお返しをするところ。百人にホワイトデーのクッキーやらを配ったらしいんだよ。
康太んちはそこそこ金持ちらしくて、小遣いも結構もらってたのに、更にバイトもしてたから、康太は高校生の頃から羽振りがよかったっていう情報は、康太と同じ高校だった奴から聞いた。
友達にもよく奢ってたみたいだけど、でも康太にタカる奴は現れない。なぜなら康太は良い奴だから。
混じりっけのない善意ってこういうことなんだろうなーって、康太を見てるといつも思う。
顔も性格も良くて、話してると楽しいし、他人の悪口も言わないから一緒にいて嫌な気持ちになることはまずあり得ない。
誰からも好かれるし、康太自身も他人を嫌いになれない性格なんだろうな。
で、そんな康太に、不思議なことが起こる。
不思議っていうか、不気味かな。
康太はアパートで一人暮らしなんだけど、夜中に玄関を何回もノックされたり、インターホンを連打されたり、ポストに色んなものを入れられたりとか、執拗な嫌がらせを受ける。
最初は「なんかこえー。ホラー漫画みたいだわ」なんて笑ってた康太だったけど、段々その笑顔は引き攣ったものに変わっていく。
「いや、ちょっとマジでヤバいかも」
苦笑いを浮かべながら、「流石にライン越えてきたわ」と言う。
俺が「エスカレートした?」って訊くと、目を閉じて頷き「危険だと思う……昨日なんてさ」と、康太に起こった出来事を掻い摘んで話してくれる。
バイトを終えて帰宅した頃には夜二十三時を回っていて風呂に入らず寝ようかなーとか思いながらテレビを点けた途端に、ドンドンドン!って玄関ドアを強く叩かれたんだって。
んで、覗き穴から外を見ても誰もいない。ちょっと迷ったけど、ドアを開けたんだってさ。そしたら、人っ子ひとりいないんだけど、猫がいたんだって。死んだ猫が。もう顔とか腹とかめちゃめちゃに切り刻まれてて、黒猫ってことしか分からないくらいにズタズタで、猫の周りには血溜まりができてたから多分ここで殺されたんだろうってことだと康太は察した。
んで、優しい康太は猫を庭に埋めてやる。康太の部屋は一階で、ベランダの外には小さな庭みたいなスペースがあるんだけど、そこの隅っこに埋めてから、段々怒りが込み上げてきたんだって。
俺に嫌がらせするために生き物を殺すような奴は許せないって。
で、怒りが収まらないまま、とりあえずシャワーでも浴びて冷静になろうと風呂場へ行って、ササッと身体を洗ってから十五分くらいでリビングに戻ると、さっき埋めた猫がテーブルに置かれてたんだって。
もう、血の気が失せたってさ。さっきまで頭に血が上ってたのに、それが一気に下がって、顔が冷たくなるのを感じたらしい。
え、これ、何が起きてるの?って思わず口にしたんだとか。
窓は閉まってるけど、鍵は締めてなかったし、入ろうと思えば入れなくもないから、まさか猫が自ら土中から這い出て来たわけでもないだろうし、誰かが掘り起こして、そしてここに置いたのは間違いないだろう。
で、康太は気付く。
室内にその犯人がいるのではないか、と。
隠れられるスペースなんて殆どなくて、見渡す限りに人の気配は感じられない。
考え過ぎか……いや、こんなとんでもないことをする奴だ。まともな人間ではないだろうし、どんな行動に出るかも分からない。
万が一出会わしでもしたら何をされるか分からない恐怖心が沸点を越えた康太は、ゆっくりと部屋を出て行く。
で、近所の交番へ行き、警官に事の経緯を話す。























その俺が猫を殺した犯人か、
うわ、、 変態だ、、、
お巡りさんこいつでーす
56したのお前か?
おえ🤮
げい?