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不思議体験

どこかで見た話さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

運動場端の白線
短編 2025/07/10 11:16 1,187view

あの白線、今でも残ってんのかな。

俺が小学校4年の頃、校庭の端っこ――体育倉庫の裏のとこに、地面に半分埋もれたみたいな白線が引かれてたんだよ。
走り幅跳びの目印か何かかと思ってたけど、他の子は誰も知らなかったし、先生に聞いても「何それ?」みたいな反応だった。

俺ともうひとり、当時よく一緒に遊んでた奴――えっと、なんだっけな、名前が…
いや、思い出せそうで思い出せない。あいつ、確かあだ名で呼んでたんだけど。
そのあいつが、妙にその白線に興味持ってさ。

「ここ、絶対なんかあるで」って。

で、ある日放課後に二人で、その白線を踏んで歩いたんだよ。白線って言っても、ほんとにかすれてて、地面ににじんでる感じの線だった。
でもその上をまっすぐ進むと、体育倉庫の裏の草むらに突っ込む形になる。

そしたら、そこに、妙に小さな木のドアみたいなのがあった。

地面にちょっと埋まってて、昔の避難壕の入口みたいなやつ。たぶん、今まで草に隠れてて気づかなかったんだと思う。

「開けてみよや」って言ったのは、俺じゃない。あいつだ。
俺は正直ちょっとビビってたけど、なんか、あいつに言われると逆らえないというか、妙に説得力あったんだよな。

で、開けたら、中は真っ暗。冷気がふわっと顔にかかって、腐った土の匂いがした。
懐中電灯なんか持ってないから、携帯のライトで照らそうとしたんだけど、当時はガラケーで、光が弱くてほとんど見えなかった。

でもあいつが「行こうぜ」って言うもんだから、俺、ついてっちゃったんだ。

中は、地下室みたいな作りだった。コンクリの壁、剥がれた掲示物の切れ端みたいなのが貼ってあった。
「防空訓練の記録」って文字が読めた気がする。

廊下の先に扉があって、開けると部屋があった。
その中、四方の壁に、写真がベタベタ貼ってあったんだ。

モノクロの、集合写真。小学生の集団が、こっちを見て立ってる。
でも、どの写真もおかしいんだよ。

同じ写真が何枚も貼られてるのに、見るたびに顔の数が減ってる。
一枚目では20人ぐらいいたのが、隣の写真では17人になってて、その次は14人…
最後の一枚では、中央にぽつんと、一人だけ立ってた。顔が真っ黒に塗り潰されてて、誰なのかわからない。

「これ、見たことある気がする」
あいつがそう言った。

「この最後の奴、俺やないかな」って。

その時は冗談かと思ったけど、なんか、すげぇ本気の声だった。
そしたら奥の壁に、もう一枚だけ、別の写真があった。
そこには、俺とあいつ――たぶんあいつだ――が写ってた。後ろ姿で、例の白線の上を歩いてた。

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