ご遺体にそんなことを…

これは俺が20代の頃、
夏に葬儀屋でバイトしていた時に
先輩から聞いた話です。

当時って言うか今もだろうけど、
葬式関連って誰もがやりたがる仕事
じゃあないわけでさ。
特にご遺体を預けるお寺さんには
俺たちバイトも一緒になって泊まるわけ。
作業自体は慣れてる先輩と社員さんもいたので
昼頃には終わって、後はご家族とお寺さんとの
手続き的な作業のみで、俺らバイトは車で待機していた。
一時間ほどして社員さんが戻ってきて、

じゃあ今日は二人で泊まってね。
私は会社で作業あるから明日の朝また。

そう言うと社員さんは俺らを車からおろと
そのまま行ってしまった。
まだ昼すぎて夜までだいぶ時間がある。
俺は先輩にこれからどうするか聞くと、

夜の8時に寺にいればいいんだから、
その辺で時間潰そうか。とは言っても郊外だからなぁ

先輩は少し困ったように笑うと、さっき車が通っていた道を
歩き始める。
先輩とたわいもない話をしながら歩いていると、
すぐそこに商店街が見えてくる。

先輩も少しホッとしたように笑う。
二人で商店街に入ると、地元の八百屋や洋服店
食堂に理髪店なんかがあり、いわゆる若者が
楽しめる場所はなかった。
しかし、今更寺に戻るのも面倒だからと
目に付いた二階にある喫茶店に先輩と入る。
茹だるような暑さだったこともあり
クーラーの効いた室内でゆったり涼めるのは
ありがたかった。
先輩とアイスコーヒーを飲みながら
バイトの話や社員さんの愚痴やブラックな話を
しながらまったりと時間が過ぎていった。
そんな中、先輩が不意に気になる話をしはじめた。