あれは、大学を卒業して社会人になって半年くらい経った頃だった。
毎日仕事で忙しくて、寝ても疲れが取れない日が続いてた。たまに息が苦しくなることもあったけど、「ストレスかな」とか「運動不足かな」と思って放置してた。
そんなある晩、久しぶりに夢を見た。そこには、高校の時に事故で亡くなった親友、隆也(たかや)が立ってた。制服姿で、どこか懐かしそうに笑ってた。
「お前、ちょっとヤバいぞ。病院、行っとけ。マジで」
それだけ言って、夢は終わった。目が覚めた時、心臓がドクドクいってた。
…なんだそれ。いまさらお前が出てくるとか、怖いって。
でもその夢が、やけにリアルで、なんだか「放置しちゃいけない気がする」と思って、しぶしぶ近所の内科に行ってみた。特に何もなければ、それはそれでいいや、くらいの気持ちだった。
血液検査と簡単な検査をして、2日後に結果が出た。
「…すぐに大きな病院で精密検査を受けてください。念のためですけど」
言われるままに総合病院で再検査したら、結果は初期の心筋症だった。放置してたら、最悪の場合、ある日突然倒れてそのまま…という可能性があったらしい。
「よくこの段階で見つかりましたね。奇跡ですよ」
医者にそう言われてゾッとした。
あの夢がなかったら、絶対に行ってなかった。あいつ、俺の命を救ってくれたのかもしれない。
思い返せば、隆也は生きてた頃からいつも「バカやってもちゃんとフォローしてくれる」やつだった。たとえば受験前、俺が遊びすぎて焦ってたときも、「今からでもやれ、ギリ間に合うから」って笑ってた。今回も同じだった。
それからというもの、時々ふと、夢にあいつが現れる。でも、何も言わない。ただ、少し離れた場所から、笑って手を振ってるだけ。
…もう、心配しなくていいってことなのかもしれない。

























怖いより感動した🥺
守護霊的な感じ