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呪い・祟り

創作怪談さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

追って来る者
短編 2025/06/07 14:52 2,188view
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大学時代、肝試し好きの友人グループがいた。
ある夏の夜、彼らは廃墟マニアのサイトで見つけた「旧○○精神病院」へ行くことになった。
山奥にぽつんと残るその病院は、1970年代に閉鎖されてからずっと放置され、今では心霊スポットとして有名だという。

4人で懐中電灯を持って突入し、最初はただの肝試しのつもりだった。
だが、3階の診察室跡に入ったとき、妙な音が聞こえた。

――ズリ…ズリ……

「え、今の聞こえた?」
「なんか…引きずってる音?」

音は奥の廊下から、こちらに近づいてくる。
一人がふざけて「ナースの霊とか出てきたら面白くね?」と笑ったが、誰も笑い返さなかった。

やがて、懐中電灯の先に“何か”が映った。

下半身だけの人間――
ズタズタに裂けた太もも、血の跡を残しながら、異常なスピードでこちらに向かってくる。

「やばい!走れッ!」

4人は全力で階段を駆け下りた。
だが、後ろから“ズリ…ズリ…”という音がどこまでもついてくる。しかも、速い。

「なんで階段降りられるんだよ、下半身だけなのに…!」

パニックのまま外に飛び出し、車に乗り込んでエンジンをかけた。
そのとき、ひとりが「待って、Aは!?」と叫んだ。

そう、1人だけ、途中で姿が見えなくなっていた。
戻る余裕などなく、その場は3人で逃げた。

警察に通報しても、病院跡を調査してもらっても、「それらしい痕跡はなかった」とだけ言われた。

Aはそのまま行方不明のまま――遺体も、手がかりも見つからなかった。

数ヶ月後。
逃げ延びたうちの1人が、夜中に自宅の廊下で倒れて死んでいるのが発見された。

上半身が無い状態で、、、

監視カメラには、玄関のドアが自然に開き、“ズリ…ズリ…”と何かが入ってくる音だけが記録されていたという。

今も残る「旧○○精神病院」――
そこには、上半身を失くしてなお誰かを追い続ける怨霊が潜んでいる。

そして、もし“あれ”に見つかったなら、
逃げても、逃げても、
音だけがずっと…
すぐ後ろで…
追ってくる。

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