昔、夜の学校で残業をしていた時の話。その日は学期末で生徒の通知表を作成しており、深夜までK先生と残業していた。時刻は確か22時を回っていたと思う。
仕事を終えたK先生が「戸締りしてくる」と言い残し、職員室を後にした。戸締りと言っても窓と裏口を閉めるだけの簡単な仕事で、小さい私の学校ならば20分もあれば帰ってこられるはずだった。
ところが、K先生は何分たっても帰ってこない。LINEもメールも既読さえつかない。K先生は昇降口の鍵を持って行ってしまったので、K先生がいないと私も帰れないのだ。1時間も経つとついに通知表の作成を終えてしまい、心配になって私も戸締りに行くことにした。
廊下の窓も裏口も、鍵はほぼ全て開いていた。サボって帰ったか、とも思ったが、K先生は私が熱で休んだ時に代わりにテストの採点をしてくれたような人なので、それはありえなかった。
2つある校舎のうち1つの戸締りを終え、第2校舎へ向かった時、渡り廊下の向こうから足音がした。コツ、コツ、コツ…。一瞬足がすくんだが、これも見回りの仕事だと思い1歩、また1歩と足を踏み出した。
そこに居たのはK先生だった。
自分「K先生!?どうしたんですかー。もう通知表作り終えちゃいましたよ」
K「ごめんごめん、お腹下しちゃってさ。第2校舎の鍵はもう閉めた。一緒に帰らない?」
自分「いいですけど…。K先生、第2校舎の裏口の鍵、職員室に忘れましたよね?」
K「やべっ、閉めんの忘れてた。今閉めてくるから、ここで待ってて。」
自分「いや、私も行きますよ。怖いし」
K「そう…」
K先生の顔が一瞬曇ったのが気になったが、気にせずに裏口へ向かった。窓の鍵もきちんと閉められているし、K先生の言っていることを疑う余地はなかった。
裏口に着くと、窓が閉まっているのに強烈な生ぬるい風が私を襲った。しかし、K先生は気が付かなかったようだ。K先生が裏口の鍵を閉めている間、私は妙な違和感に気がついた。
(知らない部屋がある…)
私はこの学校に来て2年半になるが、裏口のすぐ近くに見た事のない部屋があった。教室の名前は暗くて見えなかったが、興味が湧いたので少しだけ開けてみることにした。
驚いたことに、その部屋は鍵が閉まっていなかった。部屋の電気をつけると、その部屋の真ん中には大きな仏壇と棺、そして学校で飼われていた兎の剥製があった。血なまぐさい空気に満ちていて、直前まで何かを殺していたようだった。
私が口を開けて唖然としていると、足音もなく真後ろにK先生が来ていた。K先生は私を見て一言、
「見つかっちゃったかぁ」
と言い残し、私の頭を思いっきり殴ってきた。私はあまりの衝撃に気を失ってしまった。
ーー
目が覚めると、先程の部屋の中にいた。一時間以上気を失っていたようだ。K先生の姿は見当たらなかった。
先程の殴られた衝撃で脳震盪を起こしたのか、猛烈な吐き気と頭痛が私を襲う。最初は我慢していたが、20分も経つと耐えきれなくなり嘔吐してしまった。
嘔吐の音が部屋中に響き渡った。すると突然、棺がバタバタと動き出した。そしてうっすらと声が聞こえてくる。助けてくれ、そこに誰かいるんだろう、俺はこの中だ、その声の主は間違いなくK先生だった。棺の中でバタバタと暴れているようだ。
私がその棺を開けると、手足がロープで縛られたK先生がいた。ロープを解くと、突然K先生が、
「おい、どういう訳だ。突然殴ってきたと思えば、こんなところに入れやがって」
と怒鳴ってきた。
自分「いや、何の話ですか。あなたがさっき私を殴って気絶させたんじゃないですか」
K「鍵閉めてたらお前が職員室から走ってくるから、声をかけたら殴られて、気づいたらここだよ」
自分「そんなことしてないですよ。ならなんで私はここで倒れてるんですか。」
























怖い