呪ってないのに
投稿者:太山みせる (35)
私が高校生になって間もない頃
中学校までが一緒で、高校が別だった愛梨(仮名)から電話が来た
何があったか知らないが、ワンワン泣きながら喋っている
何を言っているか分からないので、家に呼び出した
やって来た愛梨は、高校でイジメにあっていると告白した
彼女は共学の女子クラスにいて、クラスの目立つグループに目をつけられて、そいつらに物を隠されたり、失礼な言葉を掛けてこられるようになったという
おとなしい愛梨は、同じようにおとなしい友達が数人出来ていたけれど、自分へのイジメで皆、離れて独りになってしまったらしい
これからずっと、こんなことが続いてしまう、このままでは生き地獄になっちゃう!
どうにかしなくては、と彼女は泣きながら私に訴えてきた
先生も頼りにならないし、親に心配はさせられない!
だから力の無い私が出来ることは もう呪いしかないと、突飛な考えだが、追い込まれて訳分からなくなっていたようだ
私は子供の頃からホラーが好きで、その類の本をたくさん持っていた
愛梨はそれを知っていて、呪いを教えてくれと言ってきた
確かに呪いの方法が載っている本は持っていたが、良くない事なので、止めるように促した
でも イジメてる奴らが何とかならないと このイジメは終わらない、どうしても教えてくれと愛梨は引かない
人を呪わば穴二つの話しをしても、それでもと言い張る
もし自分もそうなったら、と考えたら愛梨の気持ちも分かるので、結局私が折れた
呪い方が載っている本を出す事にしたが、それが何故か見つからない
お気に入りの本でよく読んでいたのに、なかなか出せずにもたもたしていた
愛梨に急かされながら探していると、突然、私の頭の中に『呪ってはいけない!』と女性の声が聞こえてきた
霊感ゼロの私なので、こんな体験はもちろん初めてだ
ホラー好きにはたまらない展開だが、悲しそうな愛梨を見ていると興奮も出来ず、その言葉をそのまま伝えた
愛梨は泣きながら、ではどうしたら良いの?明日もその後もずっとイジメは続くんだよ、と言ってきた
その直後、再び女性の声で『大丈夫よ、明日は思っても見なかったことが起きるよ』と聞こえてきた
その事も愛梨に伝えて、2人で話し合い、取り敢えず 呪いは明日の様子をみてからにしようという事になった
この話は、他の所にも書いた方があります。
体験者の要望で、フェイクを入れた上で、私が体験したように書きました。(太山)