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ヒトコワ

うずまきさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

3号室:ゴアイサツ
短編 2024/07/21 00:39 1,306view

ピンポーン。

室内に響くチャイムの音。のんびりしたランチタイムを中断し玄関へ急ぐ。

「引っ越しのご挨拶に伺いました。」

半開きのドアから覗き込むようにして顔色の悪い女が声を掛けた。
今時珍しいなと思いつつ、半開きのドアを一気に開けてこちらも会釈。

「ご丁寧にありがとうございます。」

言い終わる前に小さな包みを押し付けるように手渡して、女は足早に去って行く。
これが新しい隣人かと思うと薄気味悪さしかなかった。

血の気のない肌、生気のない目。何故か半開きの口元は薄笑いを浮かべていた。

部屋に戻りとりあえず包みを開けると、ごく普通の白いタオルが1つ。
いらないなーと思った矢先、またチャイムが鳴り響く。

あの女が立っていた。

「さっきの間違えたので…返して下さい。」
「え、でも開けてしまったので。」
「間違えたので返して下さい。返して下さい。返して下さい。渡したかったのはこっちです。」
「…じゃあ、これ。」

仕方なく言われるがままタオルを渡し、代わりに新たな箱を受け取った。
次の瞬間、

ばりばりばりばりばり。ばりばりばりばり。

目の前で女は不揃いの薄汚れた爪で自分の頬を掻き毟り始めた。

ばりばりばりばり。ばりばりばり。

「っ!!」

気味の悪さに耐え切れず、勢いよくドアを閉めて施錠した。

「ねえーっ、ねぇえぇぇーっ」

バンバン、ドンドンと荒々しくドアを叩く女。
ノブがガチャガチャと乱雑な音を立てて揺れる。

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関連タグ: #声#隣人#髪の毛
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