信仰の対象になったのは
投稿者:白と黒の旅人 (32)
信仰というものは面白いもので生物無生物問わず信仰の対象になります。
私の地元ではメインどころだと狐、仏様なのですが、他にも山岳、蛇(水神としてだったり単純に蛇そのものだったり)、ご先祖さま辺りです。
今回は蛇神様にまつわるちょっと面白い?お話です。
私の地元で信仰されている蛇の土地神様にまつわるお話なんですがこういうものって普通おとぎ話とか童歌になって伝えられたりするものです。しかし、私の地元では単純に「蛇の神様が土地を守ってるよ」「お話知りたかったら教えてあげるよ」と結構軽いスタンスです。
お話によるとそもそも蛇の神様は祀られるのが2回目だったとか。
1回目に祀られた時は今のサイズの尺度で言うと10m程の大蛇が元々「妖怪の類」として恐れられていたのだとか。人や動物を飲み込み、畑の上を這いずって作物をダメにしてしまう。
しかし、その蛇がいるおかげで集落の外からは悪いものが入ってこない。いっそ、大蛇を神様として祀ることで護ってもらおうとしたらしいです。
その後はお供え物(人とかじゃあなくて鶏などの卵)をお供えしていたのだとか。
そんな経緯があってか祀っている神社の人達は卵アレルギーになった人が誰も居ないんだとか。
2回目は昔に祀られていたけど、その後干ばつだとか凶作だとか色々あって人間側に余裕がなくなって信仰心が薄れた後の話だとか。
神様からすれば蔑ろにされた故に怒り、水害などが起こったそうなんですが、その水害によって痩せてた土地に新しく栄養が循環したことで新たに信仰者が増えそうです。
元々悪い妖怪とされていたのが神様として信じられて本質が変化したのかは不明ですが、今でも「みんなのお隣さん」みたいなフレンドリーな神様として信仰されてます。(なんでもお寺とか作る時に割と軽い感じで許可したのだとか)
後々、町といえるほど地元に人が入ってくると新規の信仰者はさすがに稲荷や天照大御神などの結構ポピュラーな神様や仏教関連の方が人気ということで増えなかったのですが、蛇神様は「人が増えたんならいいんじゃないか」というノリだそう。
なんか可愛いな、ウチの神様。
もちろん、蛇を信仰している人が多いので蛇の殺生は基本タブー。でも新しく来た人からすればマムシなどは恐怖の対象でしかないのでだいたい信仰者のおじいさんおばあさんがぶ厚めの手袋つけて素手で掴んで山に持って帰ってます。
後、信仰者も蛇神様も「新興宗教の宗教勧誘がウザったい」のだとか。
それは分かる。
こんなお話です。
さてさて、ここからが問題。やっぱりいくら新しい宗教、よその神様に寛容なタイプの神様とはいえ、頭ごなしに否定されれば当然怒る。
新興宗教の元はどうやらヨーロッパの宗教らしく、蛇というものをあまりよく思っていない宗教だそう(アダムにリンゴ食べるようにそそのかしたのも蛇だとか聞いたこともありますし)蛇を信仰している私たち地元民は有り体に言えば邪教徒として改宗を迫れると言ったところだろうか(とはいえ、大体の一神教は自分の宗教以外は全部邪教ってなりそうだが)。
もちろん地元の人達は怒るし、私だって怒る。神社の人も怒るもんだからとうとう神様も怒ったらしい。
新興宗教の施設が台風でズタボロになって怪我人が出たりということも起こった。
地元の人達は土地神様を怒らせたと言ってそれなりに騒いだため、ニュースとかにはならない内容にしろちょっと騒がしくなった。
この辺りから新興宗教に対して結構風当たりが強くなり、新興宗教の人達は布教を諦めて町から立ち去って行った。
やっぱり神様といえどバカにされたり、信仰者ですらない赤の他人に好き勝手言われれば怒るし、相応の仕返しはするものなのだ。
でも、こーいう人間っぽさが地元民に好かれているところでもあるのがウチの神様である。
追記 記入中に投稿してしまったので時間を置いて編集して投稿し直しました。
土着信仰に纏わる話って好きです。
色々な信仰がありますからね。でも結構共通するのがやはり蛇などの動物が信仰されているのと悪いものを祀ることで鎮めたりするのはどこでもあるようです。
蛇の信仰は八岐大蛇などの神代の大蛇が元となった可能性もあるらしいですし、悪いものを祀って鎮めたりするのは崇徳院は菅原道真と同じでしょうね。
なお、私の地元は「仏教だとか稲荷の分社がどーのーこーの?神様がOKしてるんならいいんじゃね?」と「新興宗教絶対許さん出てけ消えろー!」の人達が多いです。By作者
面白くて良い話でした