見えるフリをするのは良くない
投稿者:take (96)
私の小学生時代の同級生に、色白でひょろっと細長く、冴えない印象のNという女の子がいました。
Nとは5年生のときに初めて同じクラスになったのですが、以前より彼女は『霊感少女』だと吹聴していて、ちょっとした有名人でした。
守護霊の声が聞ける、とも言っており、女子たちが占い感覚で、
『好きな男の子がいるけど、告ったら上手くいくか』
『ピアノをこのまま続けていれば、有名ピアニストになれるのか』
といった他愛のない相談をしていました。
ただ、以前同じクラスになった子たちからは、
「あいつインチキだろ」
「あの子の言うこと、ちっとも当たらない」
と、評判が悪いことが多かったのです。
遠足で山や川に行ったりした時も、
「あそこに霊がいる」
「大丈夫だよ、私が追い払ったから」
などと言っていましたが、私には、(ああ、本当は見えてないな)と、わかりました。
私は『霊感体質』で、人には見えないものが見えるのですが、彼女の言うことは、ことごとく外れていました。
いないのにいると言ったり、逆に私には見えていても彼女は無反応だったり。そもそもそんなにしょっちゅう霊に出くわすわけがないのです。
私は少し冷めた目で彼女を見ていて、関わらないようにしていました。
ある日、班ごとの発表会の準備で、放課後までクラスの何人かが残っていて、その中にNもいました。
作業に飽きた女子たちが、その頃学校で流行っていた『狐狗狸さん』をやり始めました。
本当に10円玉が動いたあ、などと騒いでいる女子たちを尻目に、早く帰りたい私たち男子は黙々と作業していました。
「おい、いい加減さぼってないでちゃんとやれよ」
という男子の声に、遊んでいた女子も作業に戻ろうとしたとき、
「ダメだよ、いまやめたら! 狐狗狸さんが怒ってるよ!」
それまで黙っていたNが大声をあげたのです。
みんな何事かと注目すると、
「笑いながらやっちゃダメ! 真剣にやって!」
「ほら、すごく怒ってる、いま△△ちゃんの後ろにいるよ!」
と、Nはあちこち指を差して、まくし立てます。
青い顔をしている女子もいましたが、その頃には、『本当は霊能力などない』ことがバレ始めていて、半数以上はうんざりしてNを見ていました。
私は、またやってんなあと思いつつ作業していましたが、ふいに悪寒を覚え、目を向けると、教室の隅に黒い靄のようなものがわだかまっていました。
それがなにかはわかりませんでしたが、あまり良くないモノだと感じました。
Nは、しらけた空気に苛立っているのか、
「ほら、そっちへ行った!」
「今、あんたのことを睨んでるよ!」
などといいつつ見当違いの方向を指差していたのですが、
「今そこにいる!」
偶然、黒い靄を、ピタリと指差したのです。
途端にその靄は、むくりと動き出してNの方へ向かっていったのです。
ヤバい、と思った瞬間、靄はNの首に巻きつきました。
するとNは、キイイィエエエエエエエエエ!と、まるで超音波のような奇声をあげて白目を剥き、がくがくと体を揺らし始めたのです。
付いている霊を除霊してあげないと、大変なことになるのではと思い心配です。
おもろいやんw馬鹿が損する世界は素晴らしい