奇々怪々 お知らせ

不思議体験

takeさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

見えるフリをするのは良くない
長編 2023/01/10 19:18 9,635view
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これは普通じゃない、と私たち数人の男子たちが抑えようとしましたが、すごい力で振り解こうとします。
女子たちは怯え、泣き出す子もいました。
誰かが職員室へ報せに行き、先生がかけつけた時は、Nの意識はなく痙攣を続けていました。
他の女子からも気分を悪くするものが何人か出て、救急車を呼ぶ騒ぎとなったのです。

集団ヒステリーということで、それ以後『狐狗狸さん』は禁止になりました。
Nは数日休んだ後、学校へ出てきましたが、もともと信用をなくして孤立気味だったところに、『悪霊に取り憑かれた女』として、さらに孤立を深めることになったのです。

私は、アレは離れていったのか、彼女に憑いたままなのかが気になっていました。
私より霊感の強い3歳下の妹に見てもらおうかとも考えましたが、あまり良くないモノっぽいので、巻き込むのは危険だと判断しました。
もう黒い靄は見えませんでしたし、おかしな気配もないので、大丈夫だろうと思いますが確信は持てません。
彼女は懲りずに、その後も霊能者ぶっているので、気が進まなかったのですが、ひとこと言っておくことにしました。

Nは1人でいることが多かったので、教室を出たところで、ちょっといいか、と呼び止めました。
あまり見えたとか言わないほうがいい、この間みたいなことになるかもしれないから、と提言すると、
「言いがかりつけないで! あんたこそ偉そうに!」
と、激昂したのです。
私はまだ低学年の頃、霊が見える、と周囲に話し、『霊感があるヤツ』と認知されていました。
学年が上がるとともに、面倒なことになると学習し、そのテの話はしないようにしていたのですが、たまにそれを覚えている友人がいて、「こいつも霊感あるんだぜ」などと話題にすることがあり、彼女は私のことをライバル視していたのです。
「あんたこそ嘘つきでしょ! ほら、今後ろにいるのに気づかないじゃん!」
と、喚き続け、クラスメイトたちも集まり始めたので、
面倒くさくなった私は「あー、わかった、ごめんごめん」とその場を離れて終わりにしました。
おまえ、あいつと何があったんだよ? などとからかい気味に言われるのを適当に流しながら、やっぱり関わるんじゃなかったと後悔したのです。

そのまま何事もなく卒業したのですが、Nはかなり勉学優秀だったので、
進学校の私立女子中学校に進み、普通に公立中学校に入学した私たちとは縁が切れました。
それでも風の噂では、中学でも相変わらずあの調子で、周囲から浮いてしまっていると聞きました。
しかし、もう会うこともない元同級生です。時間が経つごとにNのことはすっかり忘れ去っていました。

それから年月が経ち、私が20歳になった時のことです。
文化ホールで行われた成人式に出席しました。
小学校や中学校時代の懐かしい顔と久しぶりに会い、話し込んでいると、
「おい〇〇(私)、Nがおまえを呼んでるぞ」
と、小学校の時、同じクラスだった友人が報せにきました。
すっかり彼女のことを忘れていた私は、名前を聞いた途端にあの嫌な出来事を思い出しました。
コクハクかもよ、などと囃し立てられて不承不承、教えられた場所に向かいました。

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コメント(2)
  • 付いている霊を除霊してあげないと、大変なことになるのではと思い心配です。

    2023/01/11/00:10
  • おもろいやんw馬鹿が損する世界は素晴らしい

    2023/10/26/14:01

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