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妖怪・風習・伝奇

尾恵さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

夢か現か百鬼夜行
短編 2022/11/20 23:51 1,384view
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今から20年以上前の事です。当時、実家暮らしで学生だった私は、バイトの傍ら勉学に励んでいて、バイトが終わって帰宅してから深夜まで自室の机に向かって課題をこなす日々でした。

あの日は確か、定期テストか資格検定か、とにかく試験前だったと思います。いつもより遅い時間まで勉強していました。時計が深夜2時を回った頃、一休みしようと階下のキッチンに降り、コーヒーを片手に自室に戻ると、さっきまでとは明らかに“何か”が違う気配を感じました。

今は立て替えて新しくなっていますが、当時の実家はいわゆる古民家。机の横にベランダに出るガラス扉があり、ベランダに出ると、すぐそこが隣家の屋根という立地でした。そのガラス扉から、得体の知れぬ違和感を感じ、恐る恐る外をのぞいてみることに。

すると見えたのは、魑魅魍魎か化け物か、明らかにこの世のものではない動く物体。それらがわらわらと列を成し、隣家の屋根の上を進んでいたのです。

恐怖とも驚愕とも違う、不思議な感情でその様子に見入ってしまい、しばらく息を殺して立っていました。すると、その隊列の中の一つ、というのか、一人、というのか、とにかくある物体がこちらを向き、私と目が合いました。

気がつくと、私は自室のベッドに横になり、朝を迎えていました。机の上には、飲み掛けのコーヒーカップと、開いたままの勉強道具。ベランダの扉は開いた状態でした。

果たしてあれは現実だったのか、疲れて寝落ちして夢を見ていたのか…。それ以降、同じことは起こりませんでしたが、あの時の光景は今でもしっかり記憶に残っており、とくに、目が合ったあの物体の姿形は、脳裏に焼き付いたままです。

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