危険なリサイクルショップ
投稿者:ねこじろう (147)
それは猛暑続く8月初めの昼下がりのこと。
大学が夏休み中だった俺は、
パンパンに本を詰めた段ボールを三つ、車の後ろに乗せて自宅を出た。
国道を15分ほど走ると、左手にお馴染みの看板が視界に入ってくる。
「あなたの街のリサイクルショップ『K』」
ゆっくりハンドルを切ると、広々とした駐車場の向こうに巨大な濃い青の建物が忽然と現れた。
日曜日ということもあり、駐車場はかなり埋まっている。
区画されたスペースに車を入れ停車すると、予め準備していた台車に先ほどの段ボールを積み上げ、ゴロゴロと押し進んで行く。
四角の中に【K】というショップロゴの入った自動ドアが左右に開くと、賑やかな広い店内が目の前に広がる。
奥まで続く幾列かの陳列棚に様々な生活用品が整然と展示されていて、老若男女様々な人たちが思い思いに商品を吟味している。
すぐ右手にあるカウンターの前で立ち止まり、段ボールを次々とカウンターの上に置いていると、濃い青の制服姿の細身の女性スタッフが現れ、
「こちら、買取りですね ありがとうございます。
それでは、この紙に必要事項をお書き込み願います」
とA4サイズの用紙を手渡してくれた。
椅子に腰掛けると、ボールペンで空欄を埋め始める。
すると、
「買取り査定には、約30分掛かります。
マイクでお呼びしますから、こちらの番号札を持参してください」
と「C」と印字されたプラスチックの札を手渡された。
用紙を記入し終えた俺は、ブラブラと店内を歩き始めた。
電化製品、食器類と、目的もなくただ漫然と棚を眺めてどんどん奥に進むと、一段フロアーが低くなって家具のコーナーがあった。
ベッド、ダイニングテーブル、そして箪笥と、値札が貼られた家具を見ながら歩き進んでいくと、いつの間にか店の端まで来てしまった。
最奥の壁には鉄の扉が3つ並んでいて、真ん中はトイレで、右側は【搬入口】、左側は【立入厳禁】というプレートがしてある。
ちょうど尿意をもよおしていたのでトイレで用を足した後に再び、入口の方に歩こうとした時だ。
何故か左隣の「立入厳禁」のドアが気になり周囲に気を付けながら、そっとドアノブを回してみた。
ドアは難なく開き、隙間からそっと中を覗いてみる。
8帖ほどだろうか。
天井には数本の蛍光灯が白々と灯りを灯しながら、ジージーと寂しげな音を響かせている。
その下はコンクリート剥き出しの寒々としたスペースが拡がっていた。
そこを十人ほどの男女と青い制服姿のショップスタッフがうろうろしていた。
文章がとても上手なので、怖さの伝わり方が凄かった
怖い……
Kというリサイクルショップの名前が知りたい…