1985
投稿者:ねこじろう (147)
まだまだ日差しが目映い初秋の午後のこと。
私立F高校平成○○年卒3年A組の同窓会が、高校そばにある市民ホールで行われていた。
参加人数は15名。
皆既に社会人になっており、ホール内はスーツ姿やカジュアルスタイルの男女で賑わっている。
テニスコートくらいの室内のあちこちには洒落た丸テーブルが配置されており、その上には色鮮やかなオードブルが置かれていた。
皆思い思いにテーブルの前で立食しながら談笑している。
当時のクラスで裏ボス的な存在だった酒井田がピザを頬張りながら、しゃべっていた。
かつてのスリムな体型はどこへやら、見事な中年太りの身体にブラウンのジャケットを羽織っている。
「そういや、蒲生、どうしてるんだろうな?」
酒井田の言葉に、前に立つ2人が気まずそうに俯く。
先に口火を切ったのは、一番の親友だった早島だ。
30をとうに過ぎているのに、髪を薄い茶色に染めていて、耳にビアスをしている。ちょっと痛い。
「酒井田、お前知らなかったのか?
あいつ高校卒業後すぐ、自宅の自室で自殺したらしいんだ」
「蒲生が?」
酒井田が驚いた様子で言うと、
早島の隣に立つ、ちょっと太めで化粧の濃い安芸津美優が口を開いた。
「そうそう、それも服毒自殺らしいのよ。
あんたたちが、あんまり虐めたからなんじゃない?」
美優のキツイ言葉に、酒井田と早島はちょっと気まずそうにしていたが、すぐに酒井田が口を開く。
「まあ、確かに俺たちも少しやり過ぎたところもあったかもしれんが、それがあいつの自殺と関係あったかどうかは分からないじゃないか?」
早島が後に続ける。
「そうそう。だいたいあいつは相当の変わり者でしかも陰キャでウザかったからな。
いつも訳の分からんこと言ってたし。
テロとか暴力革命とか、なんか危ない新興宗教の教祖みたいなことをブツブツ、ブツブツ、、、
学校を休んでいる間も1日中自分の部屋に籠って、怪しげなことをやっていたという噂もあった。
まだ若いのに白髪とかフケとかいっぱいあって、しかも分厚い黒縁のメガネかけててさ、とにかく気持ち悪かったから虐められて当然だよ。
担任の山田も他の連中も見て見ぬふりしてたみたいだから、全員共犯みたいなもんだな」
「でもね蒲生くんのお父さんって、大学の偉い先生だったらしいよ。日本の化学の権威という話」
美優が口を挟んできた。
復讐...