旅館に現れる女の子
投稿者:水琴 (18)
これは、私の母が体験した話です。
母が父と一緒に、ある温泉に行きました。古めの旅館でしたが、綺麗で食事も美味しく、温泉も楽しめ、とても良い旅だったそうです。
しかし、通された部屋に入った途端、母は頭痛と寒気に襲われました。普段から偏頭痛などの症状がない母なのに、その時は頭痛がなかなか収まらなかったので、就寝前には鎮痛剤を飲んだそうです。
そして夜中。
ふと目が覚めた母が目の前の壁を見ると、暗闇の中で何かが動いているような感じがしました。旅館街の街灯の灯りで、部屋はまっ暗ではありません。それにしても、その動く何かだけは、段々とその姿が母にもわかっていったのです。
それは、小学生低学年くらいの小さな女の子でした。
壁の中から浮き出てくるのだから、この世のものではないことは明白です。恐ろしさを感じながらも言葉は出ず、身体も金縛りとは感じないのに動きません。
その女の子は、到頭姿を総て表すと、ただじっと母を見つめています。母は、心の中で、
「だれ?どうしたの?」
と問いかけました。
しかし、女の子は答えず、まだ母を見つめていましたが、急に消えてしまったのです。
その時は、それが何だったのかわからなかったのですが、後年、たまたまその旅館に泊まったことのある人の話を聞く機会がありました。
その旅館で、女の子が急病で亡くなったことがあり、女の子の霊が今でもしばしば宿泊客に見られるということでした。
その子は今でもお母さんを探してさまよっているようです。
早く、自分の家に帰ることが出来るよう、母は祈ったそうです。
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