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呪い・祟り

蔦男さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

「アレ」と呼ばれた芙蓉図
短編 2022/07/03 12:10 2,190view
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私が子供のころの話です。

私の実家はある和歌山県の山深い集落だったのですが、ある夏の日に私が家族と出かけているうちに家に泥棒が入りました。家の中を荒らされ、金目のものがいくつか持っていかれてしまいました。家族は被害届を警察に出したのですが、中でも祖母の取り乱しは様は大変なもので、「アレが無い」とうわ言のように繰り返し、神棚に無事に盗まれたものが帰ってくることを毎日祈っていました。

2~3か月経った頃、警察から我が家に盗まれた品が見つかったと連絡が来ました。それは祖母が「アレ」と呼んでいた芙蓉図という絵でした。その時は盗まれたものが返ってくるという事で子供の私はただ安心しただけでした。しかし、大人になって帰って来た経緯を聞くとちょっと様子が変だったのです。

警察が調べてくれたことによると、まずこの絵を盗んだ泥棒というのは盗みの常習犯だったようで、よく県内の村や町の大きな邸宅を狙って空き巣を働いていたそうです。空き巣で手に入れた物を古物商などに売り払って金を得ていました。ただ、この泥棒は私の家に入った後はぱったりと盗みを働かなくなりました。泥棒は急性心不全で突然死し、周囲の人間が異臭に気づいて警察に連絡して、この人物が泥棒であることが判ったそうです。ただ、この時私の家の芙蓉図は泥棒の家には既に無く、古物商の手元に渡っていました。

警察が古物商に盗品の疑いがあるから持っている品物を改めさせて欲しいと頼んだそうですが、古物商はシラを切って知らぬ存ぜぬと突っぱねたようです。しかし、そのやり取りをした夜に古物商の店は火事となり盗品のほとんどは焼けてしまいました。ただ、何故か黒焦げになった箱に収められた私の家の芙蓉図だけが無事に見つかりまた古物商も人が変わったかのようにそれが盗品であることを認めたというのです。にわかには信じがたいのですが、私の家には今もその黒焦げの箱に収められた芙蓉図が残っています。

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コメント(2)
  • こういう事、有るんですよね~。
    オレの祖母が子供の頃住んでいた村には、独特の呪祖が有ったそうです。
    畑作農家では作物を盗まれる事が多々ある時代の話ですが、盗まれた農家の人が、ある呪文を唱えてから「盗んだ者の手よ腐れ」というと本当にその通りになり、盗んだ人の手に重度の傷害を負うような事が起きたそうです。
    大正時代以前の話です。

    2022/07/03/12:49
  • ナイス芙蓉図(*´ω`*)

    2022/07/03/12:54

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