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妖怪・風習・伝奇

蔦男さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

月の無い夜
短編 2022/04/27 13:34 1,358view
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どこかで聞いたことのある話かもしれません。

ある月の無い夜のことです。

貧しい漁村に一人の旅の僧侶が訪れました。
僧侶は宿を求めましたが、どの家も僧侶の求めに応じませんでした。
お金の無い村人たちには、僧侶一人もてなす余裕すら無かったのです。
そんな中、僧侶を迎え入れた家がありました。
面倒見の良い漁師の夫婦でした。
泊まらせるといっても、他の村人と同じで、酒やごちそうなどを振舞うだけの蓄えはありませんから、板間にゴザを敷くだけです。
僧侶は泊まらせてくれたことにおだやかな声で礼を言って、眠りにつきました。
夫婦も寝ようと準備をしていると、眠る僧侶の荷物から大量のお金がのぞいていました。

貧乏でいることに耐えられなかった夫婦は寝ている僧侶を殺し、そのお金を奪いました。

その後、夫婦は漁師を辞めて高利貸しを始めました。
すると、今までの貧乏が嘘のようにたくさんお金が手に入るようになり、大きな家や豪華な食事にありつけるようになりました。
やがて夫婦は待望の子宝にも恵まれ、幸せの絶頂となります。

ある月の無い夜のことです。

6歳になる息子が夜中にムズがっていました。
面倒見のよい夫が息子を厠へと連れて行きました。
息子が厠で用を足し、夫は外で待っています。
すると、厠の中の息子がおだやかな声で言いました。

「お前に殺された晩も、月の無い夜だったな」

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関連タグ: #事故物件#声#酒
コメント(1)
  • 六部殺しですね

    2022/04/27/13:45

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