奇々怪々 お知らせ

不思議体験

津々さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

留守番電話に残ったメッセージ
長編 2022/05/31 14:44 2,824view

今から20年以上前の話です。私の地元は治安がいいとは言えない状態でした。
当時、私は高校一年生で血気盛んな年頃でした。バイクの免許を取ってからは、より一層夜遊びをしていました。

そんな時に、2歳年上のA君に出会いました。A君はとても優しくバイクも詳しくてお兄ちゃん的な存在でした。
A君と知り合ってから数か月たった頃に、深夜にA君から呼び出されました。呼ばれた所に向かうとそこは暴走族の集会場所でした。

私は、少し離れた所でA君を探しているとバイクの排気音でコールが鳴り始め、周辺は爆音で包まれました。
そんな中、数台のバイクが入ってきました。その先頭にはA君の姿があり、もちろん特攻服を着ていてびっくりしました。
そして、私はA君が暴走族とは全く思っていなかったので更にビックリしました。

しかし、光と爆音に包まれたA君はとてもカッコよく見えました。
そんな私に気が付いたA君は「ヒョイ、ヒョイ」と手招きをして呼んでくれました。
私はペコペコと周りにいる強面の人に頭を下げながらA君に近付きました。

するとA君は、周りの人たちに私の事を「俺の親友だから。よろしく頼むな」と満面の笑みで紹介してくれました。
次の瞬間、怒号の様な声で叫ばれたのを今でも覚えています。
その後、世間一般にいう暴走行為に参加することもありました。

それから二年後、私は高校三年生でこれからの事を考える年になっていました。
私は、バイクと集会が好きなだけで勉強はそれなりに真面目にしていました。
なので、担任からは進学を進められましたが、バイク仲間はすでに働いている人も多く私と同じ在校生もすぐに働く感じで、私はどちらにしようか悩んでました。
そして私はA君に相談をしようと考えていました。しかし、A君は仕事が忙しく全く会えませんでした。

しかし数日後にA君に会う事が出来ました。
ですが、ようやく会えたA君は喋らないし動かない。
私がいくら話しかけても叫んでみてもA君は目を開ける事はありませんでした。

A君が動かない理由は、病院の霊安室で静かに眠っていたからです。

私は泣きながらA君と一緒に働いていた集会仲間に理由を聞きました。
A君は日頃のうっぷんが溜まっていたのか、「久しぶりに走りたい」と言い出しA君の彼女と一緒に働いていたBとその彼女で深夜に車で出かけたそうです。
A君は「久々に海でも見たいな」といい海岸線を走っていたそうです。
しかし、途中でBが運転したいと言い出し優しいA君は運転を代わってあげたそうです。

すると何事もなく帰っていたはずなのに、突然あおり運転にあったそうなのです。
A君は「先に行かせてあげな」と揉めない様に言ったそうなのですが、Bは抜かしの血が騒いだのか抜かされないように加速したそうです。
そして、レースのようになりBはハンドル操作を誤り猛スピードのまま電柱にぶつかったそうです。
そして、電柱は車の上に倒れてしいA君は潰れて亡くなってしまった。不幸中の幸いか、他の三人は命に別状はありませんでした。

私は、毎日泣きました。もう、最初に集会場所で見せてくれた満面の笑みはみれない。そう思うだけで本当に悲しかった。
そんな悲しみの中でも葬儀は執り行われます。親族も友達もみんな泣いていました。
それだけA君はみんなに慕われて大事に思われていた証拠だと思うと余計に涙が流れました。

1/2
コメント(1)
  • 心霊いい話になりますね
    泣けます…

    2022/06/02/10:58

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。