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呪い・祟り

とくのしんさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

怖い動画
長編 2022/05/04 16:58 7,061view
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大学の頃、仲間内で怖い動画を送り付けるという遊びが流行った。
俺も心霊動画の類は好きなので、Youtubeで漁ったりしている。
そんなある日、AがBが送ってきた動画がめちゃ怖かったと学食で話していた。

あれどう見ても作りものだぞw
いやいやガチだってw

といった話をしているうちにCが「俺たちも心霊動画撮ろうぜ」と言い出した。
本当にあった!呪いのビデオみたいに「おわかりいただけただろうか?」をやりたいというのだ。
夏休みも近いことだったし、4人で県外の心霊スポットに行くことにした。

そこは有名な廃ホテルで、噂ではそこのオーナーが借金苦で自殺したとかなんとか。
その後どこかの宗教団体が買い取ったとか、噂に尾ひれがついて何が本物かわからないほどだったが、一つ確かなのはそこで殺人があったということ。それは新聞にも掲載されたし、テレビでも放送された。地元の猟友会が狩りで山に入ったところ、ホテル付近に車が停まっているを不信に思い探索したところ若い女性の変死体を発見。

死因は数十か所刺されたことによるショック死だったかな?依然犯人は見つからず、といった事件。

Aは女の地縛霊だったら会いてぇwなどと不謹慎に道中喚いていた。
時間は深夜1時を過ぎていて、山道を登れど対向車はなく進めば進むほど雰囲気が増してくる。そんな雰囲気を楽しむがごとく4人のテンションは高かった。いくつかのトンネルを抜けると左手に大きな建物が見えてきた。「あれだあれだ」と騒ぎながらたどり着いた。

敷地は柵で封鎖されており「私有地に許可なく立入を禁ずる」とありきたりな文言で侵入者を立ち止まらせるが、こちとら元気のいい大学生。問答無用に敷地に入り込んだ。
柵から見える建物は5階建てと下から見上げるとなかなか大きい佇まいをしていた。上部では窓が割れ、カーテンが風で靡いている。虫の声とホーホーというフクロウの声が一層雰囲気を醸し出してくれていた。

「やっぱやめね?」とCがおもむろに呟いた。ビビッてんなよwと俺たち3人はCを揶揄ったものの、Cがマジでこえぇwと顔を引きつらせていた。とりあえず入るだけ入ってみようぜと嫌がるCを引っ張って入口にたどり着いた。
入口はベニヤが打ち付けられていたのだろう、僅かに痕跡が見えるが先客に無残に壊されており、すんなりと建物に入ることができた。

建物に入るとロビーと思われる広い空間が待ち受けていた。フロントのカウンターや、待合の椅子はそのまま残されており、ここがホテルだったことを思い知らされる。ここも窓が割られており、外からの風でカーテンが揺れていた。するとAがスマホを取り出し、呪いのビデオにありがちな探索を始める。Bが俺に「廊下の向こうに何かいる!」と叫ぼうぜwと提案してきた。
俺もその悪乗りに同調することにした。

Aは懐中電灯とスマホを持ちながら「今音がした」や「誰かの声が聞こえる」と笑いを堪えながら実況している。そのマヌケな姿に俺らも笑いを堪えるのに必死だった。すると廊下の奥でガタッと音が響いた。Aが懐中電灯を向けるが変わった様子はない。薄暗い廊下の奥は行き止まりなのは確認できるが、特段何かあるようには見えなかった。俺はてっきりBが何かを投げたと思っていた。だがBは別に何かをしたようには見えない。

Aがニヤニヤしながらこっちを向いて「音がしたw」と笑いかけた瞬間
「廊下の奥に何かいる!」と叫ぶ声が聞こえた。
と、咄嗟に入口に逃げる姿を確認したので慌ててその人影について建物の外に飛び出た。

柵付近の車まで戻ると、先頭で息を切らせていたのはC。
Bが「おめぇ早いからwもう少しAに撮影させてからな」と言い切らないうちに「誰かいただろ!動いていたじゃん!」とBに凄い剣幕で迫った。その迫力にBが押され気味に「い、いねーし!」などと反論しているとAが「マジあーいうのやめろやw転んだしw」とあっけらかんと笑っていた。

もっかい入るかどうか俺が訊く。Cが絶対に戻らないし、行くならお前らだけでいけと頑として動こうとしないので3人で戻ることにした。ロビーに入りもう一度辺りを懐中電灯で見回すが何もない。「誰かいますか?」と叫んでみるが何も返事はなかった。「ほれみろwCがホラ吹いたんだぜ」と言いつつも、先程の廊下に向かう勇気は3人ともなかったため、そのまま帰ることにした。車で待っていたCが「一人だとめちゃ怖いわw」などとお道化ていたのを覚えている。

次の日、Aから「本当にあった!呪いのビデオ撮れましたw」と動画を送ってきた。見計らったように夜中の1時に送ってきたのか、と思いつつその動画を見ることにした。建物に入ったあたりから動画は始まる。Aの「音がした」「声が聞こえる」という演技がまんま棒読みで笑えた。廊下の奥からの音がして~の一連の場面になった。確かに動画でも音は拾えていた。Cの叫び声のあと各々がダッシュして逃げ惑う姿が映っていた。律儀にAは逃げるところまでスマホを構えていたのだ。

入口までもう少しというところでAが転んだ。「いて!」という言葉と共に派手に転んだA。
スマホの画面が一瞬ロビー奥を移す。痛そうwと思っていた瞬間、そのカメラを覗き込むように女の顔が映りこんだ。かなりドアップだったので思わずうわっ!と声が出た。女はセミロングの芸能人でいうとともさかりえをもう少し貧乏にした感じの貧相な顔。一瞬とはいえ無表情で映り込むため一段と恐怖を感じた。車に戻ってもう一度廃ホテルに入っていくが、その部分については何も映ってはいなかった。

見終わったあとAに「女が映っている」と連絡をすると「そういうのもういいから」と返事が来た。はっきりドアップで映っているだろと返事を返すと何も映ってねぇよとA。もう一度見返すとAが転ぶところでやはり映っている。

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