電車にだけ現れる親友の好きな人
投稿者:J2 (8)
私が大学生の頃の親友の話です。
彼女はすごく大人しい性格で、1人でいる時はずっと本を読んでいるような性格の人でした。
共通の趣味であるアニメ小説の話で意気投合し、親しくなりました。
ある日、彼女から「好きな人ができたから相談に乗って欲しい。」と声をかけたことがあります。
彼女はてっきり恋愛に興味がないと思っていたため、大変嬉しいと感じた相談です。
彼女から見せられた好きな人の写真はすごく不鮮明で顔がハッキリ見えません。
背景はまるで山のような、草木があるような、何とも言えないような場所。
本人の顔や身体にはまるでモザイクがかかったような、霧が邪魔をしているようなモヤがあります。
「ぼやけて見えないんだけど。」と言うと、「だって、彼が写真は苦手でこれしかないって言うから。」と言われました。
「彼のどこが気に入ったの?」と質問すると、「話し方が知的で優しいところかな。」と言います。
「じゃあ、やり取りの一部だけちょっと見せてよ。」と強引に迫った私に彼女が恥ずかしそうな表情でメールを見せてくれました。
「今日は暑かったね。学校終わりコンビニに寄り道しちゃった。」という彼女の話に「そうだね、暑いもんね。」
「コンビニでアイス買ったら溶けてベタベタ。」と彼女が言うと「おお、大変だったね。」
そんなやり取りを見て、「知的?彼女が一方的に話を進めているだけじゃない?」と思ったのは否めませんでした。
見た目もハッキリしない、やり取りも決して知的そうに思えない。
私から見ると微妙な感じでしたが、彼にベタ惚れしている彼女を見ていると応援したい気持ちに変わりました。
それから数か月経ち、学校が夏休みに入った頃、私たちは補習授業で学校を何度か行き来することがありました。
真夏の炎天下、電車に乗り込むとパッと目に入った男性がいました。
白いシャツにジーンズ、そしてサッパリしたスポーツ刈り。
あの時彼女に見せてもらった好きな人と同じような雰囲気でした。
「なんで?彼って遠いところに住んでいるんじゃなかったけ?」
そう思い、気づけば彼の後姿を追っていました。
気づけば学校の最寄を過ぎ、終電まで。
電車を出入りする人たちの中で彼はまるで別世界にいるような雰囲気で立ち尽くしていました。
終電の駅に着くとフワッと降り、そして駅のホームを真っ直ぐ歩きます。
「危ない!」と思った瞬間、向かいのホームから消えるように落ちたのです。
慌てて駆け寄り、下を見下ろそうとした瞬間、「こら!危ない!」と駅員に取り押さえられ、目の前を勢いよく電車が通過。
電車が過ぎ去った後、「人が、ホームから落ちて。」と必死に駅員に伝え、駅員が確認しましたが人はいませんでした。
結局その日は駅員から学校と親に連絡があり、「補修サボって何やってたの!」と怒られました。
泣きそうな顔で翌日、そのことを彼女に伝えた時、彼女からこんなことを言われました。
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