鏡の都市伝説を試したら
投稿者:足が太い (69)
ある時、友達Aが、不思議な体験をしたと言って、話を聞かせてくれました。
夜中の2時、部屋で1人きりの時に、姿見に背中を向けた状態で3つ数を数えて振り向くと、姿見には背中を向けた状態の自分が映っていたのが見えたと言うのです。
私は「作り話なんじゃないの?それか、夜中にやったのなら寝ぼけていて見間違えたのか」と思っていたのですが、友達Aはしきりに「本当に見たの、振り向いたら鏡に自分の後ろ姿が映ってたの。絶対に見間違いじゃない!」と言います。
その時はそれで話しは終わったのですが、後日、友達Aが電話をしてきて、「もう一度試してみたらまた後ろ姿が映ってた!そのまま鏡を見続けてたら、そーっと前を振り向こうとしていた」と言うのです。
「そんなことが現実に起こるはずがない。きっと私を怖がらせようとしているんだ」と思いながら、「はいはい」と友達Aの話しを適当に聞いて、電話を切りました。
それからしばらくは音沙汰がなかったのですが、1週間後、友達Aがまた電話をしてきたのです。
その電話では「最初は後ろ姿を見せていたけど、そーっと振り返って、鏡から手を出して私の腕を掴んできた!手首にちゃんと掴まれた時の青あざもあるの」と言っていました。
さすがにこれはないと思い、「嘘でしょ?そんなことってあるの?鏡から手が出てくるなんて…。もしかして私をからかってる?」と言うと、疑われたことに腹を立てた友達Aが「もういい!」と怒鳴って電話を切ってしまったのです。
さすがに悪いことをしたなと思い、友達Aに折り返し電話をかけると、すぐに出てくれました。
「さっきは友達Aの言っていること疑ってごめんね」と謝ると、友達Aは「ううん!全然いいの。本当に気にしないで」と機嫌が良さそうに答えます。
でも何だか様子が変なのです。
上手く言えないのですが、さっきまで電話していた友達Aと、今電話している友達Aは、別人なような気がするのです。
どうしてこんな風に思うんだろうと不思議に感じながら、その時は何気ないことを話して電話を切りました。
それから1ヶ月が経った頃に別の友達Bから、「姿見に背中を向けて3つ数えて振り返ると、背中を向けたままの自分が鏡に映ってるって都市伝説、知ってる?」と、言われました。
そういえば友達Aも同じこと言っていたな…と思って「それ、Aちゃんって言う別の友達が試したみたいだよ」と言ったのです。
すると友達Bは「ええ!その人、大丈夫だったの?」と慌てた様子を見せます。
「大丈夫って何が?」と聞くと、「この都市伝説では、本当の自分は鏡の中に閉じ込められて出れなくなって、代わりに鏡の中の自分が表に出てくる」のだそうです。
そんなことが本当にあるわけない…そう言おうとした瞬間、友達Aへの違和感を思い出しました。
もしかしたら都市伝説の通り、友達Aは鏡の中に閉じ込められ、鏡の中の友達Aが表に出てきたのかもしれないと思ったのです。
友達Bとの会話をそこそこに切り上げて別れた後、友達Aに電話しました。
そして、すぐに電話に出た友達Aに「今日は暇?用事なかったらこれから会おうよ」と誘いました。
実際に会って、今いる友達Aは本物なのか、それとも鏡の中の偽物なのかを確かめたかったのです。
友達Aは「うん、何も用事ないし、暇だから私の家においでよ」とあっさり了承してくれたので、私はすぐ友達Aの家に向かいました。
15分程で友達Aの家につき、インターフォンを押すと、友達Aは出迎えて家に入れてくれました。
見た感じは今までの友達Aと変わった様子がありません。
声だけでなく顔も仕草も、全てが今までの友達Aのままです。
「やっぱり私の思い過ごしかな」と思い、そのまま友達Aとお喋りを楽しみました。
2時間程、他愛もない話しをして、もう夜になるのでそろそろ家に帰ろうとした時、ふと友達Aの手の平のホクロが気になったのです。
友達Aは右手の手の平の真ん中にホクロがあるのですが、今私が対面している友達Aは、左手の手の平の真ん中にホクロがあります。
「そういえば鏡って反転するんだっけ…」なんてことを考えながら、じっと友達Aの手元を見つめていると、友達Aは今まで見たことないような邪悪な顔で笑い、「ああ、見ちゃったか」と言いました。
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