会いに来た祖父
投稿者:かなC (5)
短編
2022/03/26
07:51
836view
息子が生まれた4か月後に祖父が亡くなりました。その年の御盆には息子と会う約束でしたが叶うことができませんでした。
祖母が棺桶に祖父の縞柄スーツを入れ、葬儀は滞りなく終了しました。
それから1か月ほどして私は夢を見ました。
その夢は私が実家にいるシーンからで
「ピンポーン」
とチャイムが鳴りました。
玄関を開けるとそこには祖母が棺桶に入れた縞柄スーツを着た祖父がいました。
「あれ?爺ちゃんなんでいるの?」
と心の中で思いながら近寄ってみると祖父が笑顔で、“えへへっ“となり、ベビーカーに乗った息子を見ながら
「俺、ここにいていいか」
と伝えました。
夢の中でもそれがどういうことなのか理解できました。
私の実家は玄関を開けるとさらに小さい門があります。まだその門の扉は開いていません。
私は何も言わずに祖父を抱きしめました。泣きました。
小さい門越しに抱きしめた記憶は今も残っています。
この夢を見た2年後に祖母が我が家に遊びに来てくれ、この話をしました。
驚いたと同時に私が祖父に対して何も言えなかったことに
「それでいい」
と言ってくれました。
不思議と胸がすっとなってあの時の対応は間違っていなかったんだと思えるようになりました。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 2票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。