運送会社の深夜勤務
投稿者:上龍 (34)
短編
2022/03/20
13:57
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若い頃、大手運送会社の工場の深夜シフトで仕分けのバイトをしていた事があります。
それぞれ担当のレーンがあり、私は13番担当でした。
ベルトコンベアーに乗って流れてくる荷物や段ボールのラベルを確かめ、「13」が来たら見落とさず回収するのが仕事だったのですが、なにぶん夜遅く眠気が押し寄せてきます。
さらにスケジュールが押してくるとレーンのスピードが上がり、見逃す事が増えて叱られます。
ある夜、やけに大きい段ボール箱が流れてきました。
逃がしたらまずい、と咄嗟に両手で抱え込んで床に投げおろしたものの、落下のショックで口が開いてしまいます。
「うわあっ!」
段ボールが濡れたかと思った次の瞬間、中からパンパンに空気と水を詰めたビニールが転がり出ました。
ビニール袋は破け、水とともに流出した何かの稚魚が床一面でぴちぴち跳びはねます。
とはいえどうすることもできず、稚魚をすくってバケツに入れ、送り主には謝罪の電話を入れました。
後で知りましたが送り主は観賞魚のペットショップ経営者で、ネットで購入した相手に稚魚を送ったのだとか。
運送会社の工場で仕分けのバイトをする際は気を付けてください。
あなたが床に投げて潰した段ボール箱には、生き物が入っているかもしれません。
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