ホラー漫画家の体験
投稿者:くやり (24)
短編
2022/03/05
18:15
1,193view
私は雑誌に連載を持ってるホラー漫画家です。
漫画の内容は私自身をモデルにした漫画家と実在の霊媒師が心霊スポットに突撃し、霊視を行うといったものです。
先日N県最恐といわれる心霊スポットを訪れました。
スケジュールが押していたので帰宅後すぐ現場で撮った写真を盛り込んだ原稿にとりかかったのですが、何故か筆が乗りません。
どうにも行き詰まり伸びをした拍子に手が瓶に当たり、机上の墨汁をこぼしてしまいました。
「あちゃ~やっちゃった」
慌てて原稿を取り上げ目を疑いました。墨汁が浸しているのは心霊スポットの写真を掲載したコマでした。
ただの偶然だろうか……気味悪さに押し黙った矢先、ツゥーと墨汁が流れ始めました。
「あ……」
墨汁がかたどっていく人の輪郭に息を呑みます。さらには下のコマにも滴り、私をモデルにしたキャラが額から夥しく流血します。
数時間後、「あの写真はやばいから載せるな」と先生に電話で警告されました。
「右斜めあたりに霊が映ってるのよ。たちの悪いヤツ」
先生が指摘した箇所には墨汁が染み込み、禍々しい黒い影を生んでいます。結局写真の掲載はとりやめ、お祓いを頼みました。
アレは自分の存在に気付いてもらいたかった幽霊のしわざなのでしょうか。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 8票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。