情報提供者A子さん(27)
投稿者:くやり (24)
短編
2022/03/10
11:56
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ある街で幼い男の子が行方不明になりました。
散歩にでかける際、父親がちょっと目を離した隙にいなくなってしまったそうです。
両親は警察に捜索願を出し、毎日街頭に立ってビラを配り、ポスターを貼って息子を知りませんかと呼びかけました。
しかし一向に手がかりは掴めず、捜査は暗礁に乗り上げます。
困り果てた両親はテレビ局に頼り、スペシャル番組で特集が組まれました。既に男の子の失踪から十年以上が経っています。
スタジオに呼ばれた情報提供者のA子(27)は、写真の男の子とよく似た十代の少年を知っている、と証言しました。
彼はA子が以前住んでいたアパートの隣の部屋に暮らしており、壁の向こうから毎日殴る蹴るの物音や罵声が絶えなかったそうです。
心配したA子がベランダ越しに覗いてみた所、なんと少年は女装させられていたというではありませんか。
さらに隣の部屋には知らない男たちが頻繁に通って来ていたそうで、嫌でも下世話な妄想を働かざるえません。
私がそのA子と知り合ったのは一年前です。
何だか見覚えあるなと記憶を辿り、彼女こそテレビに出てた情報提供者A子だ、と直感しました。
「あの証言本当?親御さんたち、すごいショック受けてたけど」
「捏造だよ」
「えっ?」
A子はあっけらかんとのたまい、驚愕に固まる私に言い放ったのです。
「あっちの方が視聴率稼げるからって、テレビの人にお金もらって頼まれたのよ」
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