公園おばさん

私が小さい頃、地元で実際にされていた噂話です。小学生くらいの時の話だったと思います。私の小学校の付近に、「公園おばさん」と呼ばれる不思議なおばさんが出る噂が存在していました。

なぜ「公園」なのかはわかりません。ただ、私の通う小学校は、住宅街の真ん中にあるような学校で、近くには広い団地もいくつかあり、団地内には小さな公園・遊び場が複数存在していました。今になって思えば、もしかしたらこれらが何か関わっていたのかもしれません。

公園おばさんは夕方になると現れるといわれていました。白いレースのついた日傘をさし、ヒラヒラとした洋服を着て、そうしてニコニコと笑いながら学校から家に帰ろうとする子ども達に「飴はいらないかい」と声をかけてくるのです。その飴を受け取ったら、どこかへ連れて行かれるという話もあれば、飴自体が怪しい食べ物で食べたら最後大変な事になるという噂もありました。

詳しい名前の由来やおばさんの正体は不明ですが、私が小学校に入学するずっと前から存在する噂で、私自身も同じ学童保育に通っていた上級生から教えて貰いました。だから夕方は、寄り道しないで家や学童保育にまっすぐ帰った方が良い、という話でした。

大きくなった今考えると、寄り道しがちな子ども達を早く家に帰す為の方便として、大人が流した噂だったりするのではないかとも思います。住宅街の真ん中にある小学校だったとはいえ、街灯が少ない町だった為、日が落ちると暗くなりやすく、それでも公園等の遊び場が多い故寄り道する子どもが多い場所でした。なので、そんな子ども達への対策として大人がついた嘘だったのかもしれません。

ですが、この噂は子ども間のみで出回っており、大人がこれについて口を挟んできたり、何かを言ってきた記憶が存在しないのもまた事実です。

当時幼かったが故に私が覚えていないだけの可能性もありますが、しかしそれでも何度思い返しても噂をしているのは子ども達だけで、大人とこの噂について話した記憶は一切思い出せないのです。

一体、この「公園おばさん」とは何者だったのか。大人になった今もよくわからず仕舞いとなっています。