隣が墓場の格安アパートに住んだ話

かなり昔、10年以上前の話です。

当時、全くお金がなかった私は2万円くらいの可愛らしい名前のアパートに住み始めました。
建物は割と新しいし駅も近いのに、なぜか2万円台なのは隣が墓場だから・・
「まー慣れるでしょう・・」と軽い気持ちで生活を始めました。

数日経って、不自然な事が起こり始めました。外出する前にしめたはずのドアや窓が開いているのです。
「おかしいなあ」と思いつつも、若干の気持ち悪さを感じました。

その後も、やたら悪夢を見るようになったり、テレビの画面が変な感じになったりと不自然な事は続きました。

当時、「オーラの泉」というスピリチュアルな番組が流行っていました。
その番組で美輪さんが「世の中には器物霊というのが存在して、ちょっとしたいたずらをしたりするのよ」「つまり、妖精さんみたいなものね」とお話されているのを視聴していました。
その番組をみながら私は、可愛らしい妖精が家の中でいたずらしているんだと思うことで、なんとも言えないこの家の不気味さをやり過ごしていました。

しかしある日、もう頑張ってもやり過ごせない決定的な出来事が起こりました。
ある昼下がり、部屋でのんびりと過ごしていると突然風呂場の蛇口が前回に開きました。「ジャー！！」という大きな音・・ここまでであれば水道の故障で済んだかもしれません。

1分ほど経った後、部屋にいる何かの存在がはっきりしました・・。

「キュッ」という音とともに勝手に蛇口が回転し閉まったのです。

私は妖精の仕業とは思えない不気味さを感じ、引っ越しの決意をしたのでした。