私の町の都市伝説、消えたおばあちゃん
投稿者:津々 (42)
これは数年前に起きた話なのですが、私の町では都市伝説のように語られています。
私が高校生まで住んでいた町は人口も少なく観光名所もないような絵にかいたようなド田舎でした。
そんなド田舎にでもデートなどで行く場所で夜景が見れる山があります。夜は夜景ですが、日中は四季が感じられる田舎自慢ができる場所でした。
しかしそんな山のすそ野にとある大手会社の工場を作る案が出ました。
ですが、そこはまだ数件の農家が住んでいる所だったのにもかかわらず工事は着工されました。
一軒、また一軒と減って行く中、一軒だけ“断固拒否”と看板を立てて立ち退きを拒否している家がありました。その家を仮にTさんとしますが、Tさんはおばあちゃんの一人暮らしで子供は男女1人ずついましたが娘さんは結婚して違う地域で暮らし、息子さんも田舎を離れ都会暮らしをしていました。
おばあちゃんが立ち退きを拒否する理由は「亡くなった旦那さんと子供たちの思い出が詰まった家を手放せない」でした。日に日に地上げのようなことが行われ、気が付けばおばあちゃんの姿が見えなくなってしまいました。
行方不明とわかり数日間、捜索はされましたが、発見されませんでした。そして都会暮らしをしていた息子さんが帰郷しました。帰郷の理由は自分の母親を探すためではなく母親が断固拒否していた土地の売買契約を結ぶためでした。
おばあちゃんが失踪して1ヵ月で家は壊され工場の一部になってしまいました。
そんな中あるウワサがたちました。大手会社が子供たちを説得して“母親を殺した”のではないか?しかしあくまでもウワサでしたが、このウワサと同時期にこんなウワサも流れました。それは夜景を見に行く道で“おばあさんの霊が出る”というものでした。
そして心霊スポットとして有名になりおばあちゃんの家から夜景までの道は肝試しに来る人が増えました。
実際、おばあちゃんは行方不明のままなのでその目撃される幽霊がおばあちゃんなのかは分かりませんが、私の町では都市伝説のように語られています。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。