とある組の死体処理担当
投稿者:イエティ (51)
長編
2021/12/02
16:32
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A会は解散、組長は懲役。若頭は拷問の末にある国の変態野郎に売り飛ばされた。
その他幹部や下っ端の組員はまとめて漁船や海外労働に飛ばされた。
10人ぽっちの組だったから結末は一瞬だった。
金を持ち、権力を持った彼にとって、その組への復讐は既にほぼどうでもよくなっていた。
暇つぶしのような感覚で発破をかけたらしい。
そこから約16年、その組での専属で働き続けた。
時代とともに仕事も収入も減っていったが、同年代のサラリーマンよりもはるかに稼げていた。
13年目のある日のこと。
組長は隠居し若頭が新組長に襲名。
そんな時期に死体処理の仕事を依頼されたときのことだ。
彼はいつも通り車に死体を積んで、数時間かけて山奥へ。
1体の、軽い死体だった。
重さは45kgほどだろう。
袋越しに、体の柔らかな部分に気付く。
恐らく、女性だろう。
仏の顔を確認したことはかつて一度も無いが、これまでの死体は確実に男だった。
女性かも…と思うことは初めてだったようだ。
山奥へ着きトランクを開け、担いだ。
死体であるはずのものが言った。
「助けて」
彼は聞き覚えのある声に耳を疑う。
「〇〇…助けて…」
続けて言う。
彼は我慢できずに袋を開けた。
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めちゃくちゃ読み応えありました
ヤクザ×心霊
どちらも社会の暗部、アングラな想像力を掻き立てる要素故に、とても相性がいいものですね。
非日常感がいい塩梅に描き出されていて面白かったです。