村を眺めている
投稿者:GENGO (32)
短編
2021/11/10
16:25
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ある日からFさんがいなくなり、
家族は警察にも捜索願を出したのだが、
いまだに見つかっていないらしい。
Fさんの生死や、行方不明が自身の意思なのか、
それとも事故にあったとかの不慮の事態なのか、
それすらも判明していないらしい。
Aのところにも警察が来て、
Fさんについて知っていることはないかと聞いたそうだが、
残念ながら参考になりそうなことは知らなかったので
とくに役にたてそうなことは話せなかった。
先述の夢の話があったので夢の詳細は省いて、
「故郷の夢をよく見ると言っていた。
故郷の村に行ったのでは?」
とは警察に言ったのだが、警察の反応は薄かったそうだ。
随分と後になってからAは知ったのだが、
Fさんの故郷の村はただ廃村になったのではなく、
ダム建設にともない水没していた。
今更にFさんが戻ろうとしても家は村ごと、
ダム湖の底に沈んでしまっているらしい。
Fさんが帰れるわけもなかった。
だがAは、Fさんの村の現状を知ってから
Fさんの言っていた
「村を眺めている。時々揺れながら。」
という言葉が気になってしまうのだそうだ。
Fさんは夢で見たように、村を眺めているのではないかと。
ダム湖の水底で。
だが今更に夢の詳細を警察に言っても・・と
Aは黙っているつもりだそうだ。
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これは良い怪談
未来の自分を見ていたのなら悲しいな…
(作者様、最後の行で字が抜けてしまっているようです)
時々揺られながら。が良い味だしてる。