おまご様
投稿者:空穂 (6)
Aはゾッとした。
旦那の両親は確かに離婚しており、母親はAが幼稚園に入る前に家を出て行ったそうだ。
母親はAを引き取りたがったそうだが、経済的な問題で父親が親権を得たと聞いている。
「母さんにおまご様のことを聞いたこともあるけど、全然教えてくれないんだよ」
旦那の話を聞いて、Aはさらに嫌な予感がした。
そして、どうか今夜おまご様が来ませんようにと願った。
しかし、願いもむなしく、夜中Aは激しい悪寒で目を覚ました。
ハッ!と目を開いた瞬間、夕方の時と同じ金縛りに襲われたそうだ。
Aが「うわっ!」と思った瞬間、生臭い匂いがゾワゾワゾワッと足元から漂ってきたのを感じた。
目だけを足元に向けると……はっきりと見えたそうだ。
夕方に見たのと同じ、子供の姿をした真っ黒な影が、ユラ……ユラ……と揺れながらAを見下ろしていたという。
Aは悲鳴をあげそうになったが、金縛りのせいで声を出すこともできない。
心の中で必死に、「来るな!来るな!来るな!」と念じるしかできない。
部屋の中は真っ暗なのに、その黒い影はくっきりと闇の中に浮かんで見えたそうだ。
そして、少しずつ、少しずつ、Aの方に近づいてくる。
魚が腐ったような生臭い匂いが部屋中にどんどん強くなり、Aは今にも吐きそうになった。
同時に、影が近づけば近づくほど頭の中に勝手に(死にたい……死にたい……)という気持ちが流れ込んできて、自分の意思とは関係なくボロボロと涙が溢れてきたという。
やばいどうしよう、助けて!!とAがパニックになっていたその時、枯れたような低い声が、
「お……、お……、おお……」
と呻くのが聞こえた。
同時にその子供の影が、両手を自分の方に伸ばしてくるのを感じたそうだ。
Aは、そいつがお腹に触ろうとしていると直感した。
こいつが赤ちゃんのいるお腹の中に入ってくる??
そう考えた瞬間、Aは激しい怒りが沸き上がり、全力で影のことを睨みつけた。
(触ったら許さない!触ったら許さない!来るな!来るな!私の赤ちゃんに触るな!!!!)
「あああああああ!!!」
声にならない声でうめきながら、Aは全身に力を込めて身体を捩った。
すると、
バチン!!!
という音が耳の奥で聞こえたかと思うと、ぶわっと身体が浮くような感覚があり、ハッとした瞬間、金縛りが解けていたそうだ。
なにこれめっちゃ面白い
正体が気になる
やはり悪霊の類なのだろうか
得たいの知れないものが入ってくるのを拒否出来るなんて凄い精神力ですね。
ハイレタ…ハイレタ…
座敷童子の可愛い子なら受け入れたかも知れないけど、そんな悪霊のような妖怪は拒否するのが一番ですね。
旦那さんの母親もも同じ経験したのだと思います。
恐ろしい状況に置かれながらも努めて冷静に対処する姿が素敵だと思いました。
そして怖い。
最初おかっぱの女の子と思ってたのは潰された頭部が髪型のように見えた…
ということだろうか
祖母がおまごさまをお腹に受け入れた際、赤ちゃんは外に掻き出されて潰れた姿となり、妊婦のお腹に入ろうとする悪霊になったのだろうか?
母は強し。
最初は本当に座敷わらしのような福を呼び込む存在が加護を与えてくれたんだろうけど、それから「もう一度祝福をください」みたいな事を願って、その呼び声に福を与えた者ではなくタチの悪い悪霊みたいなのが来てしまってそのまま棲みついたんじゃないかな。そんでまだ自我の薄い赤ちゃんの体を乗っ取っろうと虎視眈々と狙い続けてる。今は母親が全員その存在を拒絶してるから乗っ取りに失敗してるけど、乗っ取りに成功してしまったり福ではなく災いを招くーーとかいう妄想をしてしまう。
母親が離婚したがる気持ちもわかる
御家が発展するための生贄なんでしょうな
>最初は本当に座敷わらしのような福を呼び込む存在が加護を与えてくれたんだろうけど
このコメントの方、すごい! 是非、一本書いてください笑
男が呑気で勝手でどうしようもないな
根拠の無い物を福と信じるバカには方便で対応でいいよ。
「昨晩おまご様と話しました。福を授けるには男達が客間で寝ること。妊婦は家の中に居ないこと。」
「そげなバカな・・」って言われたら
「では今晩おまご様にそう話しますがよろしいですか?」で返せる。
つまり、堂々と家から脱出できる
魚が腐ったような生臭い匂い…
これは絶対に良くないものだと思います。
おまご様の正体は守り神などではなく、悪霊や魔物の類いでしょうね。