おまご様
投稿者:空穂 (6)
生臭い匂いも影も無くなり、部屋の中はしんと静かで、長女も旦那も何事もないかのように寝入っている。
呆然としたAは、そのまま震えながら朝を待ったそうだ。
朝になり、みんなが起きてくると、皆ソワソワと期待した様子でAに「どうだった?」と尋ねてきた。
Aは、本当のことを話す気にはなれず、申し訳なさそうな素振りで「すみません、何もなかったようなんですが……」と答えた。
すると全員、あからさまにがっかりしたりショックを受けたりした様子で、
「本当に?本当に何もなかったの?」としつこく尋ねてきた。
しかし、Aは頑として答えず、「なにもありませんでした」とだけ答えたと言う。
祖父は特に気落ちして、
「またうまくいかんかったか。なんでおまご様はおいでにならんかったんか。Aさん、ほんまに何もなかったんか。もう一晩泊まっていきなさい」
と何度も言ってきたが、Aはとんでもないと思い、なんとか断ったそうだ。
しかし、一番怖かったのは帰る時のことだと言う。
それまでそんな様子を見せなかった祖母が、ふいに他の人たちの目を盗むようにAに近づいてきて、一言こう言った。
「あんたそれでよかったんよ。気にしなさんなよ」
Aは驚いて祖母を見たが、もう何も言ってくれなかったという。
それ以来、Aは一度も祖父母の家を訪れていない。
祖父母の家に棲みつく「おまご様」とは一体何者だったのか。
旦那の母親や祖母もあれを見たのか。
母親も、Aと同じように拒否したのか。
祖母は受け入れたのか。
Aがあれを受け入れていたら、どうなっていたのか。
知りたいことは山ほどあるが、それ以上に、「もうあれに関わりたくない」という気持ちの方が強いという。
今でもおまご様の姿を思い出すと、Aは鳥肌が立つそうだ。
あの晩、間近で見たおまご様は。
小さな女の子などではなく、小さく押し潰された、男の姿をしていたという。
なにこれめっちゃ面白い
正体が気になる
やはり悪霊の類なのだろうか
得たいの知れないものが入ってくるのを拒否出来るなんて凄い精神力ですね。
ハイレタ…ハイレタ…
座敷童子の可愛い子なら受け入れたかも知れないけど、そんな悪霊のような妖怪は拒否するのが一番ですね。
旦那さんの母親もも同じ経験したのだと思います。
恐ろしい状況に置かれながらも努めて冷静に対処する姿が素敵だと思いました。
そして怖い。
最初おかっぱの女の子と思ってたのは潰された頭部が髪型のように見えた…
ということだろうか
祖母がおまごさまをお腹に受け入れた際、赤ちゃんは外に掻き出されて潰れた姿となり、妊婦のお腹に入ろうとする悪霊になったのだろうか?
母は強し。
最初は本当に座敷わらしのような福を呼び込む存在が加護を与えてくれたんだろうけど、それから「もう一度祝福をください」みたいな事を願って、その呼び声に福を与えた者ではなくタチの悪い悪霊みたいなのが来てしまってそのまま棲みついたんじゃないかな。そんでまだ自我の薄い赤ちゃんの体を乗っ取っろうと虎視眈々と狙い続けてる。今は母親が全員その存在を拒絶してるから乗っ取りに失敗してるけど、乗っ取りに成功してしまったり福ではなく災いを招くーーとかいう妄想をしてしまう。
母親が離婚したがる気持ちもわかる
御家が発展するための生贄なんでしょうな
>最初は本当に座敷わらしのような福を呼び込む存在が加護を与えてくれたんだろうけど
このコメントの方、すごい! 是非、一本書いてください笑
男が呑気で勝手でどうしようもないな
根拠の無い物を福と信じるバカには方便で対応でいいよ。
「昨晩おまご様と話しました。福を授けるには男達が客間で寝ること。妊婦は家の中に居ないこと。」
「そげなバカな・・」って言われたら
「では今晩おまご様にそう話しますがよろしいですか?」で返せる。
つまり、堂々と家から脱出できる
魚が腐ったような生臭い匂い…
これは絶対に良くないものだと思います。
おまご様の正体は守り神などではなく、悪霊や魔物の類いでしょうね。