ある老女の怖いもの
投稿者:LAMY (11)
短編
2021/10/29
14:44
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「一体あれが何だったのか、未だに分からないんです。もしかしたら、産後のストレスが溜まって見た幻覚だったのかもしれませんけど……」
片田舎の、寂れた町の市営住宅で。
一人暮らしの金井さんは、そう言って昔話を締め括った。
旦那さんは若い頃の不摂生が祟ってか、二十年以上も前に心臓の発作を起こして亡くなったという。
金井さんももう老年。最近は内臓の状態が思わしくないと医師に言われているらしく、実際、その顔色は枯れ木のように悪かった。
「でもねぇ。あれがそういうまともなものだったとは、どうも思えないんですよ……」
金井さんの息子はおぞましい事件を起こし、国の裁きを受けて亡くなったそうだ。
万一にでも特定されてしまう事態を防ぐため、この話はいくつかディテールをぼかして語らせていただいているが、どうかご了承いただきたい。
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ゴクリ…
闇を感じるお話
子を成さなかったという悔悛の念はどんどん大きくなるらしい。中年くらいならまだコンプレックスと呼べる物だが。老年に入ると。。