死んでも好きなもの
投稿者:YUCHI (9)
そんなおばあちゃんは叔母さんと同じように、いつも私に金平糖をくれました。
おばあちゃんは痴呆が始まり、私が中学生になっても3歳児を扱うよいに私をかわいがり、頭を撫で、いつもピンクの金平糖を2粒くれました。
ある日、おばあちゃんの体調が悪くなり、入院することになりました。
私はおばあちゃんに病院に必要な物はあるか尋ねると、金平糖がほしいと言いました。
「おばあちゃん、もう食べられないでしょ?」と言いましたが「孫が金平糖をあげると喜ぶから」と言うのです。
私はおばあちゃんに金平糖を持っていきました。
おばあちゃんはすごく喜び大切に抱えながら、叔母さんの話をしてくれました。
ぼけていたおばあちゃんもその時のことはしっかり覚えていたようでした。
そして私に「おばあちゃんが亡くなったら、おばあちゃんのお仏壇にも金平糖をあげてちょうだいね。叔母さんも喜ぶから。もちろん、おばあちゃんは仏壇から手は出さないけどね」と笑って言っていました。
おばあちゃんは今年の5月に亡くなりました。亡くなる前に、私はおばあちゃんに「いつも金平糖くれてありがとう」と声をかけました。おばあちゃんは優しく微笑んでくれたことが今でも目に浮かびます。
おばあちゃんが亡くなって最初のお盆に私は約束どおり金平糖をあげました。
手を合わせ、「おばあちゃん、金平糖、たくさん食べてね」と声をかけました。もちろん、手が出てくることはありませんでしたが。
私にとっても金平糖は思い出に残る物になりました。
例え食べ物で形に残り続ける物でなくても、世代を越えて残る物はあるのだと感じました。
今では金平糖を食べることはなかなかないですが、おばあちゃんが叔母さんにしてもらったように、おばあちゃんも亡くなるまで、私を大切に、かわいいと思ってくれていたのだと思います。
それを思い起こさせてくれるのが金平糖です。私も子どもがいて、その子が子どもを産んでおばあちゃんになったとき、孫にこの話を聞かせたいなと思います。
家族を大切にすること。亡くなってからも家族として、大切にし、思いを寄せること。それが大切にだということを伝えたいです。もちろん私も家族を怖がらせたくはないので、好物があっても仏壇から手を出すことはしませんが。
心が温まる話ですね