金縛りから死神の恐怖
投稿者:86 (1)
その日はとても疲れていました。12時間労働の後電車、バイクを乗り継いで2時間で帰宅。家に帰ってくるなり風呂にも入らず布団にダイブしました。
何時間寝ていたかは分かりませんが、恐らく午前4時頃の薄暗い部屋でハッと目が覚めました。昼間のように覚醒していて、これまでに経験がないほどに目覚めが良いもので意識もはっきりとしています。ただ、体が硬直して動かなかったのです。いわゆる金縛りという現象だなとはっきりと悟り、意識はしっかりしたままでこれからどうしようという不安が襲ってきました。ちなみに金縛りの状態でも呼吸はすることができ、眼球を動かすことはできます。
意識がしっかりしたまま1時間は経過したでしょうか、突如壁の方が青白く光り始めました。北斗七星のような配置でポツ、ポツと青白い光が何処かから照らされているような、そんな感じでした。直後、気配を感じて逆方向の壁に眼球を向けると…。
そこには大きな人型の牛が斧を振り上げてこっちを見ていました。血管が浮き出て目が真っ赤で、殺すという意思がはっきりと浮かんでいました。神話に出てくる、いわゆるミノタウルスだと思います。夢ではないかと思われますが、これまで見てきたような夢とは違ってかなり明瞭な風景で体験したことがないほどの恐怖を感じました。
そこから記憶はなくなっているのですが、起きたら昼過ぎの15時頃でかなり長く眠っていたようです。この体験は忘れないうちにすぐにメモとして残しておきました。何か牛に対して怒りを買うようなことをしたか、はたまた何か悪行に対するカルマが返ってきたのか思い当たる節は特にありませんでした。
ただかなり昔、幼稚園くらいの頃に自分が宇宙人になっている夢を見たことがありまして。いわゆるUFOで、キャトルミューティレーションと呼ばれている牛の解剖をしていました。当時幼稚園なのでそんなことがあるとは全く知らなかったですが、後になって都市伝説に知られている話なんだと分かって不思議に思いました。もしかすると前世の記憶で、宇宙人だった頃に牛を解剖していたことのツケが現生に回ってきたのかもしれません。
この一件もあって、輪廻転成や宗教的な業の存在というのはあるものだと確信しています。やはり多くの人がその存在に触れているものは確実に存在するのだと、幽霊然り。元々霊感が強いような気がしていたのも、前世的なことが影響していたような気がしています。
金縛りと牛の出来事から6日後のことですが、その日は台風でした。暴風でしたがたまたま帰省していた高校時代の友人とドライブをしていた時のことです。昼からカラオケに行って夜まで遊んでいました。そして帰る頃には夜で、暴風雨はさらに激しくなっていました。私は助手席で友人が運転手、帰路を走行していましたが道路の白線が見えないほど強い雨風にさらされていました。他の車はほとんど通っておらず、広い国道を先の見えない恐怖の中帰っていました。
そして赤信号で止まった時、猛烈な突風と共に正面から大きなドラム缶が転がってきました。「ヤバイ!」と叫んでシートの下に頭を屈めましたが、ギリギリのところで車に衝突することはありませんでした。九死に一生だった、と思って頭を上げて信号を見上げると…。
そこには体長4m近くあるだろうフードをかぶった骸骨、いわゆる死神のようなものが信号機と同化していました。鎌を振り上げてジッとこちらを見つめており、その瞬間言葉の出し方が分からなくなりました。友人の方を見ると顔が真っ青になっていて、無言のまま急いで車を発進させていました。
2kmほど進んだところで声が出ることに気づいて、一言「見た?」と声をかけました。友人は青ざめた顔のまま「うん」とだけ言い残し、何かそれ以上は聞いてはいけないような空気感に包まれて無事に帰宅しました。
何か悪霊でもついていたのか、立て続けに起こる心霊体験に不安を感じていましたが、それ以降は大きな出来事はありませんでした。
しかし何かやることなすこと上手くいかなかったり、運が悪いように感じていました。
その後1年以内に見た霊は、金色に光る爪くらいのサイズの赤ちゃん。青白く光りながら車の車輪にくっついたドリルのような幽霊、高速で走っていく火の玉、トンネルに張り付いて少し浮いている赤い服の若い女性がいました。
たまたまかもしれませんが、住んでいた場所が元処刑場と言われるところからほど近く、不思議なことに引っ越してから幽霊を見ることがなくなりました。
今あの時のことを振り返ってみると、やはり普段生活しているような場所の影響は受けやすいのかと思います。また何かの業で殺されかけていたのかもしれませんが、まだ現在生きていることもあるためどこかで業を回収できたのかもしれません。
この出来事以降、運が悪いと感じた時はゴミ拾いをしたり神社に行ったり、意識的に除霊のようなことを試すようにしています。
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