ベッドで彼女を待つ人形
投稿者:水琴 (18)
人形が魂を持ったように動いたりするという話はよく聞きます。人間に似た形をしたものほどその傾向は強いとも言い、そう聞くと怖くなります。
これはある大学生の話です。
彼女には可愛がっていた人形がありました。特に小さな頃から、というのではなく、中学生か高校生の時に気に入って買ったもので、女の子の人形ですが日本人形ではありませんでした。
癒される可愛い顔と柔らかい手触りが気に入っていて、ベッドにいつも置いて寝る前は触っていたそうです。
そんな彼女が県外の大学に通うので、下宿をすることになりました。荷物は出来るだけ少ない方が良いと、彼女は最低限の物を持って下宿先のアパートに引っ越しました。
大学生活が始まって1か月程経った頃、彼女の母親から電話がありました。
大学生活、一人暮らしについて聞かれた後、母親は
「あなた、ベッドの上にあのお人形を置いていったのね。段ボールに詰め忘れたの?」
と言ったのです。
一瞬意味が分からなかった彼女でしたが、母親があの人形のことをいっているのだなとわかりました。あの人形は絶対に必要な物ではなかったので、彼女はクローゼットの中に閉まってきたのです。
母親はベッドの上にあると言いました。
彼女は嫌な予感がしました。
更に、人形がベッドの上にあったということで母親は最後に詰め忘れたと思ったのでしょう。
「送ってあげようか」
と言ったのです。
取り敢えず断り、クローゼットに閉まっておいてと頼んで電話を切った彼女は首を捻りました。
ゴールデンウイークに家に帰った彼女は、人形がクローゼットに閉まってあるのを見て安心しました。
そして、又大学へと戻った彼女に母親からの電話がかかってきます。
「あのお人形、やっぱり持って行くんだったの?送ってあげようか?」
混乱した彼女がよく聞くと、あの人形はまたベッドの上にいたというのです。母親は当然彼女がクローゼットから出したと思い、下宿へ持って行くのを忘れたと思ったようです。
ここで彼女はパニックになりました。
怖い気持ちがどんどん大きくなり、
とにかく「送らなくていいから」と言うのが精一杯でした。
しばらくは下宿に帰ってアパートのドアを開けるのも怖いだった彼女ですが、さすがに人形は彼女の下宿までは来ないようでした。
でも今も実家のベッドの上で待っているそうです。
連れていってあげて~