神社に居たのに居なかった人
投稿者:ミシェル (5)
私が中学生の時の話です。私は高校受験を控えていて、大して勉強も出来なかった私は、友達が参考書などを購入し日に日に学力をつけていくのを見て焦っていました。しかし私はドが付くほどの面倒くさがりで、そろそろ勉強しないとと思いはするものの、全く行動には移さないタイプでした。テストの前の合言葉は「何とかなる」。勉強してもテスト範囲にヤマ張って挑むタイプだったのです。
一世一代の大イベント、高校受験だというのに、今回も私は「何とかなる精神」を発揮してしまい、ほとんど勉強をしないまま中学三年の後半にまできてしまいました。学力テストの成績を見て流石にヤバいなと感じた私は、とっとと参考書などを買って勉強すれば良かったのに、まずは神社にいって神頼みをしようを考えたのです。我ながらなんと馬鹿。受験生とは思えない心構えだなと今でも思います。
普段神社なんてお正月くらいしか行かなかったので、何もない普段の日に神社に行くのは初めてでした。お守りなんかを売ってるような大きな神社ではなく、地区にある小さな神社でしたので、とにかくお賽銭を入れてお参りをしました。
すると社の後ろから一人の綺麗な袴を来たおじさんがやって来たのです。私はこんな小さな神社でもこういう神主さんがいるんだとビックリしました。不思議と怖いとは思いませんでした。
「若いのに偉いね」と言われ、私はバカ正直にお祈りしたことを話しました。おじさんは笑って「たまには神頼みも大事だからね。分かる分かる」と意外にも同意してくれました。それから少し話し、おじさんが「そろそろ帰らないと。ここは暗くなると危ないから」と言ってくれました。確かにこの辺は街灯もないので、暗くなると怖いを友達も話していました。私は言われるがまま家に帰りました。
家に帰って私はお母さんに今日のことを話しました。お母さんは最初「神頼みなんて馬鹿じゃないの!」と怒ってましたが、少しして「あれ?あそこに神主さんみたいな人なんて居たっけ?」と言ったのです。すると父が「昔は居たけど去年亡くなったよ」と。
……あれ以来、そのおじさんには会っていません。友達に聞いても、「そんな人見たことない」と言われるだけ。
あの人は一体誰だったんだろう。いい年をして神主さんのコスプレをする人だったのだろうか。それとも……。
袴親父よりミコサンのほうがいいのに!