どうやって?でも、実際、Rは皆が思うほど怖い存在なんかじゃなかった。少し無口だけど冗談も言うし、普通に笑う。
ただ1人の小学生にしては異常な噂が、勝手にRにつきまとっているだけだった。
だから、この言葉も、そんなどこにでもいる小学生の言葉にすぎないと思い込もうとした。
期待したら、裏切られたように感じてしまうから。
その日の夜に、物音で目を覚ますことはなかった。
だけど、あいつは夜に階段から落ちて死んだらしい。
らしいと言うのは、どうにもそれが「落ちた結果」に見えないから。
人がどうやって階段から落ちたくらいで、あんな人形をめちゃくちゃに振り回したみたいな格好ができるんだ。
結局起きたのは、母の叫び声を朝に聞いたから。
僕は興奮しちゃって、それが警察や大人にバレないように、ずっと俯いていた。
悲しそうに見えただろうか。
だから、学校に行けるってなった日は、興奮を抑えるのが大変だった。
どうにか、放課後まで待って、Rと2人っきりになったら思いっきり「ありがとう!」って頭を下げた。
Rは恥ずかしそうにしながら「別に私は……」
なんて言ってたけど、Rのおかげだってことははっきりと分かっていた。
何かお礼をさせて、と僕が言ってからどんなやり取りで動物園にデートに行くことになったのか、今はもう覚えていない。
覚えているのは、学校以外で会うRの新鮮さ。そして、夕焼け。
オレンジ色に染まった檻の中には、何の動物もいない。奥の小屋で寝ているか、どこかに身を隠してじっとしているのか。
なぜかRと僕は2人、黙ってその檻の中を見つめていた。
周りには誰もいない。
「どうやったの?」
自然と言葉にしていた。
はっとした顔で、Rがこちらを見ているのがわかる。
でも、努めて、優しい顔を作って僕は檻の中を見ていた。
「……この世界に、釣り合っていないこと。それがわかる。」
Rがぽつぽつと言葉を紡ぐ。
「私はただ、そのバランスをとっているだけ。でも、」
「あの人は違っていた」
あの人、とはあの男。あいつがいることは、あいつが僕たちを殴ったりすることは何の不思議も違和感もない、バランスの取れたことだった、らしい。
「なので、ほら」






















※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。