「え?何?こっち来てちゃんと言って!」
「あのひと…ひ、ひ―――」
「よーし!揃ったかな?皆さん!えー、我らが青春の映画同好会、約束通り、今夜!伝説の作品を公開します!」
かつての副部長の掛け声に、皆が反応する。私の声はかき消された。
「いや伝説って!(笑)」
「まあ、最後だから伝説か!」
「タイムカプセル的なの、私初めてだからめっちゃ楽しみにしてたー!」
「てか、よく全員集まったよね!」
「え、そうなの?」
「いや何言ってんの、全員でしょ(笑)」
示し合わせたように、皆、たった一人を見て見ぬふりしている。
スクリーンの左端、照明の陰に身を潜めるようにして、座り込む一人の姿。
薄汚れてくたびれたミリタリーコートに、ブカブカの黒いズボン、裸足に緑のサンダル。それは、かつての日野さんが、いつも着ていたのとほぼ同じ―――
その格好で、力無く、ぼんやりとした表情を浮かべる、部長の姿。
皆に見えない筈がない。だって、そこにいる。そこにいて、皆の方を、眺めているのに。
「うっわー!私、棒読みでめっちゃハズい!(笑)」
「この時の学生役ってだれだっけ…えーと、あ、ああ…うん…」
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