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呪い・祟り

プルプル布顚🍮さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

墨水の様に 改訂版
長編 2026/09/21 12:27 103view

 その後、Bは病院に運ばれて行った。だが、
「見た所、何も問題はありませんね。何か強いショックを受けて、一時的にパニックになってるだけです。一週間後には退院出来るでしょう。」
 と言われた。
 そして一週間後、Bは退院してきた。けれどBはずっと何も無い虚空を見つめ、水を恐れるようになってしまった。

* * *

「速報です。◯◯県◯◯市で女性計四名の遺体が自宅の二階の部屋で発見されました。死因は——」
 朝のニュースをぼんやり眺めながら朝食のパンを口へ運ぶ。
「全員溺死、死後一週間は経っていたと思われます。」
 違和感を感じてテレビから目が離せなくなる。風呂場ではなく二階の部屋で溺死?あと、この家どこかで……
「女性は◯◯県◯◯市に住んでいる『田辺七海(たなべななみ)』さんとその友人のAさん・Bさん・Cさんだと……」
……あぁ、そうだ。ここは私の親友の家だ。
 今から約二週間前、親友の七海から連絡が来た。
「今夜、降霊術する事になったよ」
「誰とやるの?」

「私とA・B・Cだよ」
「気を付けてね」
 七海は小学生の頃からの幼馴染で、割と連絡は取っている方だ。けれどこの二週間前を最後に連絡は途絶えていた。
 その日は仕事を休み、急いで七海の家まで行く事にした。
 七海の家は、私の家から電車で二時間程掛かる。実家からは近かったのだが、私は仕事の都合で少し離れた所に一人暮らしを始めた為、中々会う機会が無くなってしまった。
 のんびりと電車に揺られながら、私は七海に初めて会った日の事を思い出していた。
 
「何読んでるの?」
 怖い話の本を読んでいると、一人の女の子が話し掛けてくれた。
「怖い話だよ」
「怖い話?私も好き!」
 私はその時分、友達が居なかった。けれど七海だけは私と仲良くしてくれた。私の唯一の親友だった。よく、休み時間に怖い話を語り合っていた。
 一度だけ、怖い話が好きな理由を七海に訊いた事がある。すると、七海はこう答えた。
「怖い話の世界って、亡くなった人——幽霊が出てくるでしょ?つまり、人は亡くなった後もまだこの世界に居れるって事だと思うの。亡くなった人の世界が、何も無い真っ暗な世界よりずっと良いと思う。」

 その表情はどこか寂しいような、けれど希望に充ち満ちていた。あの時の光景は、まるでついさっきあった出来事のように思い出せる。

 七海の家の最寄り駅に着いて、私は忘れかけていた道を思い出しながら歩いていた。ほんの少しずつだが、あの頃の記憶が輪郭(りんかく)を帯びる。一緒に滑った滑り台のある公園、学校の帰り道でこっそり寄った駄菓子屋。綺麗な水色の石を見つけて七海にプレゼントした小川——
 そして、七海の家に着いた。けれど七海の家には黄色い標識テープやブルーシートが張り巡らされていて、とても入れそうにない。
 その時、家の前にしゃがんで泣き崩れている六十代くらいの女性を見つけた。
「大丈夫ですか……?」
「……七海のお友達?」
 その女性は顔を上げる。その瞬間、女性は七海の母親だと気付いた。
「……はい、そうです……あの、七海ちゃんは……」
 何となく判(わか)っていたが、信じたくない自分が居た。
「……亡くなったの……一緒に居たお友達も」
 目から自然と涙が溢(あふ)れる。私の唯一の親友。私が虐められた時庇ってくれた親友。そんな七海はもう居ない。
 ずっと私は七海に救われてきた。だからこれからは私が七海を救ってあげたかったのに。
「遠い所から来てくれてありがとう。七海はきっと喜んでると思うわ。七海があなたへ手紙を書いていたから、渡すわね。」
 そう言って七海の母親は一つの手紙を渡してくれた後、去っていった。手紙は一度濡れたようで凸凹(でこぼこ)としている。手紙にはこう書かれていた。

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