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その時、彼の所属する部隊は狂気の様相を呈していた。
この数日で末端の少年兵たちを中心に部隊の約半分が死滅し、前線も大きく後退した。
今、彼の部隊の目と鼻の先から、さらに敵の兵士たちがその距離を縮めている。
「堤・槭?縺ョ荳九∈」
司令官が理性を放棄した雄叫びを上げた瞬間、自爆ベストを付けた少年兵たちがまだあどけなさの残る顔を極限まで引き攣らせながら、横一列に幾つもの銃口を向けている敵兵に向かって一斉に飛び出した。
彼はその光景を見て、いつかの夢で見た数学の小テストでの光景を思い出していた。
合図で一斉にスタートを切るという同じ行為でも、生きている世界によってこんなにも違う意味を持つことが痛烈な皮肉に感じられた。
「闕呈エ・邀ウ繧ソ繝?」
ただ一人自陣に残っている少年兵に向け、司令官は目を血走らせながら、もはや人語ともつかぬ咆哮を上げる。
少年兵はそれを意に介すことなく、敵兵たちと対峙する反対の方向へと踏みしめるように歩き、数歩進んだところで立ち止まった。
そして、銃口を口に含み、右目だけを庇うように細めると、意を決したように引き金を引いた。
彼の命の終焉を示す音は、他の数多の命の消滅音にかき消され、この世界でそれを聞いた者は誰一人としていなかった。
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目を覚ますと、カーテンから差し込んだ陽光が、壁に陽だまりを作っていた。
目覚まし時計は10時40分を差している。
近所の工事現場のブルドーザーの耳を打つような低音に、一瞬耐え難い不快感に襲われたその時。
「ちょっとー! 休みの日だからっていつまで寝てるの!」
下から母親の呼ぶ声が聞こえる。
香奈はよろめきながら2段ベッドから降りると、右目を庇うように細めながら階段へと歩いて行った。






















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